七十二「ヒトラー  最期の12日間 」





冒頭:1944年ドイツ東部だったかポーランドに位置するのか
“梟の森”だったかな
夜間にヒトラーの最高司令部の要塞に向かう20代前半の5人の女性たち、ヒトラー秘書を募集していてそれに応募した女性達で、要塞の中の総統執務室の隣で副官から「今は犬の餌の時間だからもう少し待って下さい」と言われ女性から質問があり「総統に挨拶をする時はナチ式敬礼をすればよいですか?」と尋ね「いや民間人を募集しているから、その必要は無い、ハイル~と答えて下さい」と。ヒトラーが執務室から出てきて女性達が立ち上がりヒトラーが女性たちに「名前や出身、年齢等」を尋ねていくと初めは女性らは副官の指示通り「ハイル(総統閣下)~」と答えるが、ヒトラーは「ハイルは省略して」と言う(ヒトラーの研究家によると、政治家軍人としては狂人であったが一個人としては優しい面も持ち合わせていた)、最後に準主役となる女性に名前等を尋ね「早速始めよう」と執務室でタイプの試験をしてユンゲという彼女が採用される。


 


 シーンが変わり1945年ベルリン 地下司令部前に砲弾が飛んで炸裂、地下で休んでいた「秘書、専属料理人、ともう1人の女性(職種が分らない)」が爆発音や揺れでたたき起こされる、司令部の電話にヒトラーが怒りながら歩み寄り空軍司令官に「この音が聞こえないのか!!」司令官は煙草を吸いながら「聞こえません」「砲撃を受けてる敵は何所まで進出しているのか?」「現在、偵察機の報告によりますとオーデル川までです」
ヒトラーは電話を切って「将軍達は真実を報告していない、砲撃を受けるということは敵が(ソ連軍)近くまで迫っているということだ」と怒りまくる(オーデル川はベルリンから50キロ以上離れどんな長距離砲でも届くはずが無い、当時の主流の80ミリ~100ミリの大砲の射程距離が多分10数キロとするとそこまでソ連軍が迫ってると言う事)


 


 さらにシーンが変わり建物から撤退するドイツ軍、撤退命令が出て慌てて資料や書類を燃やしている中で国防軍医大佐がSS(親衛隊)の将軍に「一般市民を治療する為に残る」と言って了承される。


 また別のシーンでベルリンの路上に設置された高射砲を操作している
10代の青少年に1人の父親が「こんなものではソ連軍に対抗できない早く逃げろ」と諭すがその高射砲の指揮官の少年が「最後まで抵抗する、あんたの目的は何だ?」と尋ね「自分の息子を迎えに来た」と言う、(この息子役の少年は地下司令部だけの描写ではベルリン市街の様子が分らないので市内で起こっている事を彼の目撃したことで“説明”している)。


 ベルリン市内でソ連軍の砲撃を受けている旅団司令部の将軍に電話があり「司令部を無断で撤退させた、無断撤退は禁止されている、地下司令部(最高司令部)に出頭しろ」と命令が下る、撤退はしてないのだが勝手に決めつけられていたのだ、サイドカー付のバイクで出頭して地下司令部を歩いてゆく(度々あるが地下司令部を再現していてある意味その内部の説明になる)、身分証明を出し、警備部に拳銃を預けヒトラーに面会、暫くして
ヒトラーの決定を待っていると別の親衛隊の将軍が「おめでとう総統を感激させた、ベルリン防衛軍の司令官に昇進した」と告げられるが「銃殺されたほうが名誉だった」と答える。


 ヒトラーの誕生日が来たので愛人エマがケーキを作り、側近達が大勢集まるなかで祝賀会が開かれ元帥や大臣、親衛隊長官(ヒムラー)等が挨拶をするなか何人かが「総統閣下ベルリンから脱出してください」と言うがヒトラーはベルリンに残ると言う。


秘書達が部屋で雑談をして煙草を吸っているとエマが来て
「パーティーをしましょう」と言って大勢のスタッフ達とワインやシャンパンを飲みながらダンスをしたりしていたが砲撃があり照明が消えたり、壁が吹き飛んだりしたので皆逃げ出す・・・・
(市民は苦しんでいた時にヒトラーの側近や高官達は酒やパーティで苦しみを忘れるというか逃れていたということ、戦争に負ければ自分達の運命がどうなるか分っていたから)


 


医大佐が電話を取ると官庁街の病院で医師と医薬品が不足しているから医薬品を持って来てくれと言われたった一人残った部下とトラックで別の病院近くまで行って医薬品を探していると病院には置き去りにされた老人が多数残っていた、また夜間になり官庁街へ向かっていると悲鳴がして老人の男性が走ってきて「助けてくれ」とトラックにしがみついたらSS(親衛隊)が来て「逃亡しようとした」と言って引っ張ってゆく、車から降りて追いかけると銃殺しようとするので「老人ではないか止めろ」と言っても
SSの指揮官(明らかに大佐より若く階級も低いのだが組織上は国防軍よりも上に存在し、警察みたいな役割もあった)が「止められるなら止めてみろ」と言ってあっけなく射殺する。


 官庁街の地下病院へ到着して医者のところまで出向くが途中の通路には
負傷した兵士や市民がごった返し、ベッドも明らかに不足している、手術室に行くと「手術は出来る?」と聞かれ「内科医です」と答えると助手を頼まれる。


 


戦況がますます悪化して地下司令部内にある“ヒトラーの食堂兼作戦室”にカイテル元帥や親衛隊の将軍、陸軍の将軍等の司令官級のお偉方が集められ現在のソ連軍の位置やドイツ軍の応戦、残存兵力を報告しているが殆どベルリン寸前まで来ている上に、当たり前だが負けまくってるのでヒトラーが「西部戦線から兵力を移動させろ」「他の部隊を投入しろ」と怒鳴り散らす、部屋から出た将軍ら高官達は「総統閣下は現状を分っていない」と愚痴るので親衛隊副長官が「正直に負けると何故言わない」と責めると「そんな事は言えない、言っても納得されない、出世主義者の君が言え」と内輪もめ状態。


 


秘書のユンゲはヒトラーに書類を渡したり、通信室で休んでいたりしていたが(映画の中で彼女が仕事をするシーンは比較的少ない)宣伝相のゲッペルスが来て『妻と娘達がココに移ってくる世話を頼む』と言われる、そのあと妻と子供達(男が1~2人、後は女の子で合計6人で最年長で12~13歳、最年少で3~4歳くらい)が来て妻の部屋と子供部屋があてがわれる(宣伝相の地位は兎も角、ヒトラーの片腕としてナチスではナンバー3
以内の権力者だったはず)、子供達が着替えて通路で合唱を披露している中で別の将軍がヒトラーに呼ばれ現状を説明させられる・・・・・・


 また通信室にユンゲがいると通信員(一応将校だと思う)が「これを副官に渡してください」とびびりながら頼み、副官に渡すと明らかに動揺している。機密の通信文なので秘書は見れない、ヒトラーが目を通す「あいつは裏切り者だ、ヒムラーは信じられない私に無断で停戦交渉をした、見つけ次第銃殺しろ」と言って「親衛隊副長官はどこだ?」
「行方不明です」「見つけ出せ」と言ってかつての部下だった親衛隊員が
捜索して、売春婦と酒に溺れた副長官を連行する
(愛人エマの兄だったのでそこまで出世した)
エマが慌ててヒトラーに兄の助命を願うが無理だと断られ
銃殺されてしまう。


 


ベルリン市街ではソ連軍の攻撃が激しくなり市民に多数の犠牲者が出る中、民兵がリンチで市民を吊るし首にした死体がぶら下がっていたり、
激しい戦闘の中で市民軍の老人達が
不十分な訓練と装備で死体の数だけを増やすので防衛軍司令官が
「撤退させろ」と命令しても「市民軍は宣伝相の指揮下にあり無理です」と言われ「責任は私が取るから兎に角撤退させろ」と言ってゲッペルスに面会して「市民軍は損害を出すばかり戦闘に投入しないで下さい」と頼んでも「私は彼らに強制していない、市民が自発的に参加しているのだ
市民が死んでも良いのだ」と全く意に介さない。


 


ヒトラーが私室にゲッペルスといると
(限られた人間のうちさらに限られた人間しか入れなかった)空軍最高司令官のゲーリングが「今後総統と連絡が取れなくなったら私が総統の代理となる旨に了承されたし・・」みたいな通信文(テレックス)が来て
激怒し「これはクーデターだ」と激怒する
(側近も次々と裏切られていった)


また作戦室では「何故まだ残っている兵力を投入しないのか?」
「この部隊を移動させろ」等の現実には存在しない(壊滅状態)部隊が存在しているような幻想があり、精神状態が不安定といようりも崩壊しつつあったらしい(この映画では手が震えるシーンとか将軍達を“士官学校では
ナイフとフォークの使い方しか教えなかった”とか罵倒しまくる、
実戦部隊の将軍(数万人の指揮官)を戦闘中に呼び出し現状を報告させ戦闘の邪魔をしていた、ユダヤ人の虐殺だけでなく末期には
正常な判断力が欠けていった)。


 


ヒトラーが防衛軍司令官をベルリン陥落まであとどれ位の日数があると尋ね「2~3日」と答えると、お気に入りの部下に「私の最後の頼みだ、私が死んだ後に死体をさらしたくない焼却してくれ」と頼み部下は「断腸の思いで必ず行います」と言って必死にガソリンを集める、ヒトラーはユンゲに遺書の口述筆記を頼む(速記で書き取りタイプライターで打ち直す)、その最中にゲッペルスが来て「ユンゲさん私の遺書を作成して」と頼む。


 


下司令部でエマとヒトラーが結婚して、ある医者が呼ばれヒトラーになにやら説明をしている、その別の部屋や通路では高官らが酒を飲みまくり現実逃避をしていた、翌日にユンゲらがボイラー室(地下司令部の電源)で煙草を吸っていると「総統のお別れの時間です」と言われ整列している中ヒトラーとエマが挨拶をして私室に入り、しばらくして銃声がする(青酸カリを服毒して頭を打ち抜いて苦しまず確実に死ぬ為)。死亡を確認した後に2人の遺体を運び出し地下司令部の近くでも砲弾が飛び交う中ガソリンをかけて焼却した。1945年4月30日


ゲッペルスの妻が子供達に薬を飲ませる、年少者から飲ませ最後の長女は
異変を察知して嫌がるが医者と母に抑えられ無理矢理飲まされ眠りにつく(睡眠薬)、その後ゲッペルス子供たちの寝顔を見て妻が1人で青酸カリを口に入れ噛ませてゆき6人の子供全てを殺す
ナチスでない国で生き残っても不幸だと信じて)、
この子供らの遺体の写真が現存する。


また別のベルリン市内ではナチスユダヤ人に人体実験をしていた
医者(ボウマン?)が家族を道連れに手榴弾で自殺心中する。
人体実験した医者は多数生き残り、裁判にかけられ死刑になったもの、
禁固刑になったものブラジルへ逃亡したものがいる)
ゲッペルス夫妻は地下司令部から出て拳銃で妻を射殺してゲッペルス
自らの頭を撃ち自殺、その遺体も焼却される。


 
下司令部では将軍が2人と通信員とボイラーマンのみが残りあとは
脱出することになる、皆が出て行った後に将軍2人は自殺、夜間に脱出した司令部の人間達は銃弾が飛び交う中地下鉄の駅や廃墟の中を歩いてゆき大きな工場の跡みたいな所にたの部隊が集結していたのでそこに入ってゆく、
すると周囲はソ連軍に包囲されドイツ軍は抵抗せずに武器を放り出す、その間に地下司令部にいた女性二人に「ソ連軍の目的は軍人だ女性なら逃げられる」と防衛軍の司令官が脱出を勧めユンゲは脱出しようとするがもう1人は「もう動けない」と残る、不安がっていたユンゲだが1人の少年
高射砲を操作していた少年)が手を握り2人で脱出に成功する、
そして残った高官たちは廃墟の地下に固まり今後どうするか、


ソ連軍と戦うか降伏するかで多数決をとりソ連軍と戦うと決まったが、
別の軍人が「我々は降伏した」と歩み寄ってきて降伏することになる
、その瞬間数人が自決する。


 ベルリン市外ではドイツ軍の高官がラジオ放送で「ヒトラー総統は亡くなった、ドイツ軍は抵抗をやめこれ以上の死傷者を出さないよう」と放送し、宣伝者が走行しながら中継する。


 


ラストシーンは少年とユンゲが拾った自転車で二人乗りしながら走るシーンで幕は下りるがエンドに出演者(ナチスの要職、高官など)の顔写真
(役柄)と実在の人物のその後(処刑、10~20年後に禁固刑後に開放)等の処遇などが説明される。


そして最後の最後にユンゲ本人が
「知らなかったとは言え反省しなければならない」と


“反省の弁”を述べる(本人は1992年ごろに死亡)


 


第三帝国の滅亡とヒトラーやその側近達の末路などを描いていました。


3時間近い長い作品で負けず劣らず長い文章になった