スペック戦争を生きる君たちへ、KRIGERレビュー丁寧に訂正


スペック戦争を生きる君たちへ

原題<KRIGER>=<戦争>
邦題「ある戦争」STUDIOCANAL 2015年デンマークフランス


1/爆発物
2/電話
3/治療
4/狙撃
5/第3地区
6/襲撃
7/帰国
8/争点
9/審理
10/証人
11/判決
12/約束



(アフガン戦争終了後のNATO-OTANのISAF)
ジョークが逆に他の内容をより重くする
<少年がプールに行ったら係員に”水中に小便するな”
と注意された少年が”他の人もしてる”と言い返すと係員が
”飛込み台からするな”と注意した>
タリバンを狙撃し射殺後に隊長が狙撃手に
<仕留めた後の感想を一文字で表すと?狙撃手は”バンのB”、
他の隊員が”デスのD”>
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イラクアメリカ軍がUAVでイスラム過激派をミサイル攻撃し
10人くらい<彼らの天国へ送ってやった>時に作戦室で
見ていた兵士達から歓声が起こった
それを別のモニターで見ていた他の兵士が
「犬達が可愛そうだ!!」と大声で叫んだそうだ
(人間よりも犬に同情してる)

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士官学校卒の空挺部隊中隊長(大尉)エリートの主人公クラウス、
NATOのTCCCから搬送後送システムとかその背景が
分かると理解しやすい部分がある(アメリカ陸軍の救急ヘリが
飛来、医療システムがアメリNATOは工場化してる
/それだけ負傷兵が途切れる事が無い証でもある)
TACTICAL COMBAT CASUALTY CARE
第一線戦術救護システム
アサルトライフルはM-4のコピーでアクセがアメリカと
異なり別のライフルに見間違う
スナイパーライフルはM95でM82バレットの更に進化型とも言える。
ヘルメットカメラやナイトビジョンのアタッチメントが付いた
ヘルメットを数人の兵士が被ってる。


この作品が戦争犯罪となりかねない内容であることと
裁判が含まれることから弁護士がレビューを書いてるのが目立った。

アフガニスタンでの治安支援活動(戦闘)

オープニングでいきなりパトロール中の小隊規模の
チームで1名がIEDの犠牲で戦死する。

基地(FOB)では犠牲者を出してまでアフガンに駐留する意味が
あるのかと兵士に不満と疑問が噴出するのだが、説得する中隊長の
言葉が凄く「市民を守る為、民主主義と人権の為」と日本の
最高責任者が叫ぶ<国際貢献>ではない、ただ本当に効果があるのか
実際に感謝されてるかは別問題、デンマーク軍でも相当数な
戦死者を出してるしアメリカ以外のNATO加盟国でも
激増する戦死者の増加(と国民の反発)に耐え切れず結果的に
撤退した国や撤退が選挙公約と為った国もあった。
デンマークもアフガンで30人以上の戦死者が出た、大雑把だが
一般的に負傷者はその10倍は出るのが普通、
一見無傷に見えてもPTSDなど普通に起こる、比較的公表が
義務化されてるアメリカ軍もこのPTSDはあまり正確なことは
発表されない、帰国後や除隊後とかカウントが
殆ど不可能に近いとか理由もあるが)

隊員が混乱しているからと中隊長クラウス自らパトロールに同行する
(審理で資質を疑われる要因になる、ケースバイケースで
その国が派遣してる部隊規模により中隊長クラスが戦線に
出るかどうかは異なり、この場合はあまり良くないとされた)
部下思いの中隊長の優しさが逆に仇になるのだが
部下思いだから部下も上官を庇った。戦友をIEDに吹き飛ばされ戦死し
混乱した部下が限界だから帰国させてくれと懇願すると、
家族の話を聞いて自分の衛星電話を差し出し
「妹と話をすればいい10分後にコーヒーを一緒に飲もう」
と部屋を出て行く。
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ドキュメンタリーでソマリアの海賊狩りに派遣された
デンマーク海軍の艦艇で兵下士官クラスの乗組員が
「子供と妻が帰国を望んでいる」と艦長に申し出
艦長が帰国を許可したのには戦時下ではないとは言え驚いた。
ここでは関係ないがデンマークで思い出した。
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トロールで巡回していると住民の男性が娘の火傷を治療してくれと
懇願してきたので治療して中隊長クラウスは何か有ったら基地に
来いと言ってしまいタリバンに脅迫されたその家族が保護を
求めに来たが明日行くからと追い返す(ここで家族を基地に留めず
夜間に出動しなかったクラウスを批判してるコメントレビューもあったが、仮に受け入れるとそこは基地ではなく難民キャンプに為った、
部隊の出動はQRFで待機状態でも無い限り即応性は殆ど無い
情報収集 作戦 弾薬類の分配補給等々相当な作業になる、
そしてイスラエル軍でも無い限り現場の裁量権は殆ど無く硬直
し柔軟性が無いのが何処の軍隊でも共通)
またタリバンAK47/7.62mmで射撃してきて大概の西側は5.56mm
だからその有効射程の差を利用し遠方から攻撃するから最新兵器を保有していても必ずしもISAFが有利とは限らない、そもそもゲリラは自分達が
有利な状況下でしか攻撃せず<カミカゼ>は普通は選ばず自滅が明白な
状況下は普通は逃げる(自爆テロは子供を騙したり下っ端の要員で
宗教幹部やタリバン幹部はしない、神風も同じだ自分も後から行くと言って実際に行った教官や士官は殆どいない)
アメリカ軍でも不利な状況だと物陰に隠れたり退却したりすることも
少なくない(有る程度は反撃する)支援可能であれば戦車や大口径の
榴弾砲などで援護射撃をしてもらえるがタリバンも馬鹿ではないので
都市部で市民を盾にしたり、その大口径での援護射撃の射程外で活動をしたりする、そうなるとアメリカ軍はたかがゲリラでもネトウヨ御用評論家なら考えもしない(考えても自衛隊は実行不可能に近い)
方法で反撃する、IEDの設置もいたちごっこアメリカ軍も
対処する方法を見出すがそれに対抗する方法をタリバンは考え出し
IEDを設置し無限ループ状態。


男性が住んでいた付近にパトロールに行くと既に家族全員が
タリバンから処刑されていた。
タリバンの支配地域だから昼間のパトロール中には隠れて
夜に村に来て住民を脅したりする、つまりISAFの活動は
役立たずになってる。



その直後奇襲攻撃を受け兵士1人が負傷し重傷の為に緊急搬送が
必要となるが攻撃が激しく応戦だけでは不可能なのでCASを
要請するしかし何処から攻撃を仕掛けてきているか不明で
未確認の情報で空爆できず中隊長と通信兵が言い合いになる。
負傷兵の搬送を急ぎたい(遅れると確実に死亡する)
中隊長は第六-地区(コンパウンド)から攻撃を受けていると
敵の存在確認(PID)をせずCASを要請してタリバンを吹き飛ばす
この時の空軍の合成された効果音が凄くて本当に戦場にいるみたいで
ジェット機の音と爆弾が炸裂する音、そして”後から機関砲の
射撃音が届く”。
負傷兵は1機40億円はする超高級救急車ではないが
救急ヘリが飛来し搬送される--TAK CHEF 
あの中継シーンも泣かされる(そして中隊長の株価が上昇する)

その後チームは近くでパトロール中に兵士が後送された後に
車両を検査するが<手荒くもてなす>のも兵士の心理を示唆してる
人権には手厚そうなデンマークでも
ベトナム戦争などでの虐殺なども同じ部隊の兵士が殺害された後に
発生している場合が多い。



基地に戻りマッタリしてると司令官と法務官が面会に来て
空爆で民間人も11人犠牲にしたので審理される事に為る(殺害容疑)
即刻帰国命令が出る。
アフガニスタンの民間人の安全が重要なのか自国軍兵士の安全がより
重要なのか、1人の自国軍の命か11人の他国の命が大事なのか幾ら
映画とは言えここまで問うとは日本の映画では製作できない。

綺麗事を言えば11人の方が重要と言えるが、所詮他国の顔も
生い立ちも性格も知らない外国人である。しかしこれが
例えば日本が戦争に巻き込まれアメリカ軍が米軍兵士を
救う為に通信兵が<リクエスト>した結果で敵国軍を撃退し
米兵士を救う結果として日本の民間人が11人巻き込まれたら
どう思うのか?ネトウヨなら自己責任だとか守ってもらってるとか
感謝しろとか言うに決まってるがそのネトウヨの家や家族が
吹き飛ばされ本人も三本目の足まで吹き飛ばされるとか
四肢切断で辛うじてベッドの上で生存できる生活を送るハメ
になっても言えるならその主張も立派だがネトウヨは自分の
権利だけは平気で主張し他人の権利はまず認めない。
(極端な例えだが日本の負け戦WWⅡ原爆投下時のアメリカの論理、
米軍兵士を救う為に投下したというのと同じ



  (ここはオーバーラップしていて交互)
  母国で残された妻と子供
 
妻役が北欧美人で別のドラマでキャリアウーマン的な役柄を
(と妻母を何気ない描写だがそれだけ北欧は女性の社会進出
が当り前この作品も普通に仕事をしている)演じていてそっちは
メークをしていたので相当美人だった。
この映画で母国に残った家族も描く、父親がいないために
長男が精神的に不安定になったり、次男が薬を誤飲して
救急治療をうけたりと<ワンオペ>で苦労をしてるのだが
夫から電話があっても心配を掛けたくないので
「GOOD」と会話するのが泣ける(泣いてないけど)
夫婦の会話をドア越しに映して何を言ってるか分からない
ように撮影するとかカメラワークも上手い。

上官は隊員の安全を守る為にいる
嘘をつけない責任を取ると妻に言うと
妻は「死んだ事もが何!生きてるわが子を考えて」と
その考えを否定する(妻としてはそう思って当り前



     裁判での後半


軍法会議もあるがこの場合は民間での通常裁判となり法務官
(=軍人)が検察官、裁判官は通常の裁判官弁護士も民間人で
「私の仕事は無罪を勝ち取る事が目的で倫理観は二の次」
正直であり正しいとは言えないが間違えているともいえない。
極右が主張する「国防軍と改称すれば軍法会議が設置できる」
だとか(敵前逃亡での銃殺を主眼において主張してるのも怖い
普段自衛隊凄い自衛隊最強とか抜かしておいて、それでは
自衛隊員最低と想定してるのと変わらない)吠えてるけど
改名しただけでは軍法会議の設置は不可能で(憲法を勉強しよう
あと司法制度も)、デンマークがどのような法制度で軍の司法制度が
どうなってるかも知らないが似たようにすれば何も憲法改正まで
は不要だろう(軍法会議軍法会議で制度がある。)
こういう捏造した主張は説得力を欠く。
ドイツの”基本法”を憲法と言って改正回数競争をしてるけど
基本法の経緯や東西ドイツ統一EU加盟などの背景を説明して無いし
(日本が国家統一EU加盟の為に憲法改正が必要なら確かに
改正だな)


検察証人として中隊の隊員や副隊長(士官学校同期で戦友
家族ぐるみの付き合いだろうし無理に庇わないが批判もしない
片方が隊長で副隊長になってるのだからそれだけクラウスが
選ばれし中隊長だと言う事になる)


検察:
国際人道法で民間人を守る為に禁止されてる
(敵を見たと伝えろ、敵は見えない)
同情の余地はあるか?被告人のジレンマは理解できる 
自身子攻撃命令の根拠さえ示せなかった状況は曖昧なまま
敵の存在を証明できてない

法と同情は別物 法律の順守は絶対
国際人道法に例外を作ってしまえば世界は我々の望まない方向へ進む
最終的な判断は法廷に委ねます。

弁護士:
命を懸けて戦う兵士が信憑性の怪しい写真で裁かれたら?
最終的な判断は法廷に委ねます。

判決は通信兵ニックネーム”ブッチャー”ことラッセ
偽証してまで上官を庇い<無罪>となるその判決理由は敢えて
音声を消して視聴者に想像させるが
法律に詳しい人は法曹以外いないので厳しいだろう。

しかし一件落着とはいかない、長男に「また行っちゃう?」
と聞かれ「行かない家にいる」と約束する、つまり海外派遣を
拒絶する事になりエリートコースを捨てる事を意味する、
若しかして除隊する事を言ってるかもしれない。
(幾ら無罪判決でも起訴された事実は残り経歴に傷が付いた)
もちろん出世はこの映画では問わないが、例え無罪になっても
将来を棒に振ってしまう事は自明。彼が選んだ人生だから
それは否定できないがもし派遣されなかったらとかIFで
考えれば「正しい戦争は有得ない」

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