レビュー KRIGER ある戦争


原題<KRIGER>原題は<戦争>
邦題「ある戦争」STUDIOCANAL
2015年デンマーク

STUDIOCANALは知ってる人に説明不要だが知らない人には
解説が有った方が親切、フランスのケーブルテレビ系の映画会社
比較的良作を製作している。つまりフランスの会社とデンマークとの合作、
デンマークが小国で経済規模でペイしない為に初めから海外輸出を
念頭に製作している(フランスも)


1/爆発物
2/電話
3/治療
4/狙撃
5/第3地区
6/襲撃
7/帰国
8/争点
9/審理
10/証人
11/判決
12/約束


文字制限の為にレビューでは不足するからブログでそこまで必要か?
と思える脱線まで含めたレビューを書いてみる

(設定はアメリカのアフガン戦争終了後の国連治安支援部隊ISAF)
ソマリア海賊狩に派遣のデンマーク海軍で下士官クラスの乗組員が
艦長に「妻と幼い子供が寂しがってる」と帰国を希望しその乗組員の
帰国を艦長が許可した事は驚いた(と海賊狩はキャッチ&リリースで臨検しても
放つ事しかできない事を言ってた事)この映画とは全く関係ない

北欧作品らしく人間や倫理善悪など一概に判断できない内容を含み
ジョークが逆に他の内容をより重くするスパイスで
<少年がプールに行ったら係員に”水中に小便するな”
と注意された少年が”他の人もしてる”と言い返すと係員が”飛込み台から
するな”と注意した>タリバンを狙撃し射殺後に隊長が狙撃手に
<仕留めた後の感想を一文字で表すと?狙撃手は”バンのB”、他の隊員が
”デスのD”>

映画ではないがアメリカ軍がUAVでイスラム過激派をミサイル攻撃し
10人くらい<彼らの天国へ送ってやった>時に歓声が起こったが
それをモニターで見ていた他の兵士が「犬達が可愛そうだ!!」と大声で
叫んだそうだ(人間よりも犬に同情してる、人間が敵だとしても)

 

作品で僅かにしか触れないがパッチ等で士官学校卒の空挺部隊中隊長(大尉)
でエリートの主人公、NATOのTCCCから搬送後送システムとか
その背景が分かると理解しやすい部分がある
アメリカ陸軍のMEDEVACヘリが飛来→アフガン・バグラハム→
ドイツ・ラムシュタイン米空軍基地→米本国OR NATO 基地 
等医療搬送システムとかアメリNATOはシステム化してる
/それだけ負傷兵が途切れる事が無い証でもある)映画では英軍基地に
送られた事になってる、もちろん最終的には自国。
TACTICAL COMBAT CASUALTY CARE
第一線戦術救護システム
アサルトライフルはM-4でアクセがアメリカと異なり別のライフルに見間違う
スナイパーライフルはM95でM82バレットの更に進化型とも言える。
ヘルメットカメラやナイトビジョンのアタッチメントが付いたヘルメット
を数人の兵士が被ってる。

アフガニスタンでの治安支援活動(戦闘)
(ここはオーバーラップしていて交互)
母国で残された妻と子供(そして長男が父が不在である事から情緒不安定気味)

裁判での後半

人権には手厚そうなデンマークでも自軍兵士が負傷し後送された後に
車両を検査するが<手荒くもてなす>のも兵士の心理を示唆してる
ベトナム戦争などでの虐殺なども同じ部隊の兵士が殺害された後に
発生している場合が多い。
犠牲者を出してまでアフガンに駐留する意味があるのかと
兵士に不満と疑問が噴出するのだが、ここで説得する言葉が凄く
「市民を守る為、民主主義と人権の為」と日本の最高責任者
辺りが叫ぶ<国際貢献>ではない、もっとも本当に効果があるのか
実際に感謝されてるかは別問題だ、デンマーク軍でも相当数な
戦死者を出してるしアメリカ以外のNATO加盟国でも
激増する戦死者の増加(と国民の反発)に耐え切れず結果的に
撤退した国や撤退が選挙公約と為った国もあった。
(アフガンで43人戦死者が出た、推計だが一般的に負傷者は
その5~10倍は出るのが普通、その軽重傷の割合とかは
ケースバイケースでかすり傷程度は含まないが、
一見無傷に見えてもPTSDなど普通に起こる
比較的公表が義務化されてるアメリカ軍もこのPTSDは都合が悪く
あまり正確なことは発表されない、帰国後や除隊後とかカウントが
殆ど不可能に近いとか理由もあるが)

この作品が戦争犯罪となりかねない内容であることと
裁判が含まれることから弁護士がレビューを書いてるのが目立ち
法的に考えさせられる事も多かった(ネオナチ芸人の法的コメントは
間違えても参考にしたくない)

通信兵が偽証して上官を庇う 敵の存在を確認してないため
軍法会議もあるがこの場合は民間での通常裁判となり
法務官(軍人と思われる)が検察官、裁判官は通常の裁判官
弁護士も民間人で「私の仕事は無罪を勝ち取る事が目的で倫理観は二の次」
正直であり正しいとは言えないが間違えているともいえない。
極右が主張する「国防軍と改称すれば軍法会議が設置できる」だとか
(敵前逃亡での銃殺を主眼において主張してるのも怖いな
普段自衛隊凄い自衛隊最強とか抜かしておいて、それでは
自衛隊員最低と想定してるのと変わらない)吠えてるけど
改名しただけでは軍法会議の設置は不可能で(もっと憲法を勉強しよう
あと司法制度も)、デンマークがどのような法制度で軍の司法制度が
どうなってるかも知らないが似たようにすれば何も憲法改正まで
は不要だろう(軍法会議軍法会議で制度がある。)
こういう捏造した主張は説得力を欠く
ドイツの”基本法”を憲法と言って改正回数競争をしてるけど
基本法の経緯や東西ドイツ統一EU加盟などの背景を説明して無いし
(日本が国家統一EU加盟の為に憲法改正が必要なら確かに
改正だな)

 

タリバンの攻撃を受け第六地区から攻撃を受けているようだと敵の存在確認
=合理的攻撃理由=ROE用語PID=Positive Identification )せず
CASを要請して民間人も11人犠牲にしたので審理される(殺害容疑、
目視などが無い場合攻撃が許可されてない)
アフガニスタンの民間人の安全が重要なのか
自国軍兵士の安全がより重要なのか、1人の自国軍の命か
11人の他国の命が大事なのか幾ら映画とは言えここまで
問うとは日本の映画では製作できない、
綺麗事を言えば11人の方が重要と言えるが、所詮他国の顔も
生い立ちも性格も知らない外国人である。しかしこれが
例えば日本が戦争に巻き込まれアメリカ軍が米軍兵士を
救う為に通信兵が<リクエスト>した結果で敵国軍を撃退し
米兵士を救う結果として日本の民間人が11人巻き込まれたら
どう思うのか?ネトウヨなら自己責任だとか守ってもらってるとか
感謝しろとか言うに決まってるがそのネトウヨの家や家族が吹き飛ばされ
本人も三本目の足まで吹き飛ばされるとか四肢切断で辛うじてベッドの上で
生存できる生活を送るハメになっても言えるならその主張も分かるが
ネトウヨは自分の権利だけは平気で主張し他人の権利はまず認めない。
(極端な例えだが日本の負け戦WWⅡ原爆投下時のアメリカの論理、
米軍兵士を救う為に投下したというのと同じだ、)

TAK CHEF 

この時の空軍の合成された効果音が凄く本当に戦場にいるみたいで
ジェット機のエンジン音と爆弾が炸裂する音と銃弾の音、
そして”後から機関砲の射撃音が届く”(音の速度と弾丸の速度の違い)

妻役が北欧美人で別のドラマでキャリアウーマン的な役柄を
演じていてそっちはばっちりメークをしていたので相当美人だった
この映画で母国に残った家族も描く、父親がいないために
長男が精神的に不安定になったり、次男が薬を誤飲して
救急治療をうけたりと<ワンオペ>で苦労をしてるのだが
夫から電話があっても心配を掛けたくないので
「問題ない」と会話するのが泣ける(泣いてないけど)
夫婦の会話をドア越しに映して何を言ってるか分からない
ように撮影するとかカメラワークも上手い。

 

タリバンの支配地域だから昼間のパトロール中には隠れて
夜に村に来て住民を脅したりする、つまり軍隊の活動は
役立たずになってる。
住民の男性が娘の火傷を治療してくれと懇願してきたので
治療して中隊長クラウスは何か有ったら基地に来いと言ってしまい
タリバンに脅迫されたその家族が保護を求めに来たが
明日行くからと追い返す(ここで家族を基地に留めず夜間に出動しなかった
クラウスを批判してるコメントレビューもあったが、仮に受け入れると
そこは基地ではなく難民キャンプに為った可能性がある、部隊の出動は
QRFで待機状態でも無い限り即応性は殆ど無い情報収集 作戦 
弾薬類の分配補給等々相当な作業になる、そしてイスラエル軍でも無い限り
現場の裁量権は殆ど無く硬直し柔軟性が無いのが何処の軍隊でも共通)
またタリバンAK47/7.62mmで射撃してきて大概の西側は5.56mmだから
その有効射程の差を利用し遠方から攻撃するから先端兵器を保有していても
必ずしもISAFが有利とは限らない、そもそもゲリラは自分達が
有利な状況下でしか攻撃せず<カミカゼ>は普通は選ばず自滅が明白な状況下は
普通は逃げる(自爆テロは子供を騙したり下っ端の要員で宗教幹部やタリバン幹部は
しない、神風も同じだ自分も後から行くと言って実際に行った教官や士官は
殆どいない)アメリカ軍でも不利な状況だと物陰に隠れたり
退却したりすることも少なくない(有る程度は反撃する)
支援可能であれば戦車や大口径の榴弾砲などで援護射撃をしてもらえるが
タリバンも馬鹿ではないので都市部で市民を盾にしたり、その大口径での
援護射撃の射程外で活動をしたりする、そうなるとアメリカ軍は自衛隊ネトウヨ
御用評論家なら考えもしない(自衛隊には不可能に近い)方法で反撃する、
IEDの設置もいたちごっこアメリカ軍も対処する方法を見出すが
それに対抗する方法をタリバンは考え出し

ラッセ 
コンパウンド compound(地帯・区域/対象・対象区域)軍事用語でも出る

部下思いの中隊長の優しさが逆に仇になるのだが部下思いだから
部下も上官を庇った。部下が戦友をIEDに吹き飛ばされ戦死し
混乱し限界だから帰国させてくれと懇願すると、家族の話を聞いて
自分の衛星電話を差し出し「妹と話をすればいい10分後にコーヒーを
一緒に飲もう」と部屋を出て行く

上官は隊員の安全を守る為にいる
嘘をつけない責任を取ると妻に言うと
妻は「死んだ子どもが何!生きてるわが子を考えて」と
その考えを否定する(妻としてはそう思って当り前)

国際人道法で民間人を守る為に禁止されてる
(敵を見たと伝えろ、敵は見えない)
同情の余地はあるか?被告人のジレンマは理解できる 
自身子攻撃命令の根拠さえ示せなかった状況は曖昧なまま
敵の存在を証明できてない

法と同情は別物 法律の順守は絶対
国際人道法に例外を作ってしまえば世界は我々の望まない方向へ進む

最終的な判断は法廷に委ねます。
命を懸けて戦う兵士が信憑性の怪しい写真で裁かれたら?


判決をネタバレさせると<無罪>となるその判決理由
敢えて音声を消して視聴者に想像させるが
う~んそこまで法律に詳しい人は法曹以外いないので厳しいだろう。

しかし一件落着とはいかない、長男に「また行っちゃう?」と聞かれ
「行かない家にいる」と約束する、つまり海外派遣等を拒絶する事に
なり之までのエリートコースを捨てる事を意味する、若しかして
除隊する事を言ってるかもしれない。
(幾ら無罪判決でも起訴された事実は残り経歴に傷が付いた)
もちろん出世はこの映画では問わないが、例え無罪になっても
将来を棒に振ってしまう事は自明。彼が選んだ人生だから
それは否定できないがもし派遣されなかったらとかIFで
考えれば「正しい戦争は有得ない」と言う事だ
独立戦争とディフェンスを除き、ただ独立戦争はもう起こらないだろう)


アフガニスタン人11人の死と自国軍兵士1人を見殺しする事
どちらを選ぶのか?と結果論としてだが問題提起にもなってる。

レビューに書く人は少ないが<軍隊は最小の被害で相手に最大の
損害を与える>事が基本で例外的に犠牲を厭わず目的を完遂
すべき場合も有るが(人質救出だとか拠点の確保奪還)
それが不可能な時に中止できる指揮官は少ない。

脚本 監督が トビアス・リンホルム
「偽りなき者/ IN A BETERR WAOLRD」 「光のほうへ」
 エイプリルソルジャーズの脚本もこの方だった

予告編のナレーションは不要で台詞だけで内容を
想像させる方が良かった、ナレーションで既に配給側の
先入観というか解釈が入ってる。