レビュー パパは奮闘中

 

☆1102

原題<Nos batailles >          
邦題「 パパは奮闘中  」2018ベルギー仏
原題は<私達の戦い>で

パパは奮闘中では子育ての事をイメージするが
同時進行(並行描写)で勤務先で部下を庇ったり
社会・会社でも戦ってそのソフトイメージは皆無。

オリヴィエ /ROMAIN DURIS
ローラ/オリヴィエの妻
エリオット/長男
ローズ/次男
べディ/オリヴィエの妹で彼の子供にとっては叔母
アガト/オリヴィエの会社の嫌な上司
産業医 マルク
マニナ


フランス作品には何故かこの手の<労働>に
関する映画は多くその中でも<組合>だとか
<嫌な事を我慢してまで働かない>気風が描かれる事が多い、
実際問題としてある程度の我慢は必要だが。
同じように企業内や職業を描いていてもアメリカ作品の場合は
世界初のセクハラ裁判や有名な内部告発などシリアスな事や
家族観など別の手法で描く事が多い。

 


美しい妻と可愛い子供2人で決して裕福ではないが
幸せに暮らしていたオリヴィエだが、妻が精神的に参って
突然家を出て行く(事前の彼女の言動で自殺するかと勘違いした)、
オリヴィエの母(子供祖母)とオリヴィエの妹が訪ねてきたり
手伝ったりしながらオリヴィエの勤務先でのトラブルを並行描写。
(家庭内と仕事の両方で頭痛の種を抱えてるために
両方とも上手くいかない片方でも難しいのに、だから安倍総理
両方とも対応出来ないのかと納得)

妹ベティが訪ねてきて会話から2人の子供時代の
家庭の事も明かされていく、仕事中心の父親は家庭を
省みることなくしかも独裁者的に振舞っていて2人にとっても
明るく幸せな家庭とは言い難いよう。

物語の始めの方でローズがママはチョー綺麗と言いまくる
フランスはそういう会話が普通なのか?少なくとも
日本の女ネオナチ(女ネトウヨ喜び組)の家庭では交わされてない事
間違いなし、幸せであれば女ネトウヨにはどんなに努力してもなれない
(男ネトウヨでも同じ事が言える)

エリオットの9回目誕生会のシーンは幸せそう
日本の少年少女の幸福度が先進国ではどん底レベルも納得
「自分の幸せが分ってない」とネオナチ達が弱い犬ほどよく吠えていたが
お前達も自分の幸せを噛み締めてるならネオナチネトウヨじゃ
ないだろうとブーメラン発言。

ローズが母親がいなくなったショックなどで
失語症になる兄エリオットが母親を探しに行こうと
勝手に学校をさぼって大騒ぎになりオリヴィエの友人ポールが
刑事なので捜索を依頼し発見される、そして失語症は回復。
(欧州の列車は基本的に車内検札で駅改札でのチェックは地方線にはない)
オリヴィエも妻の出身地から絵葉書が届いたので
探しに行くが見つからず昔の彼女に会いに行き
<セックスの集会>をしてくる(見破る妹の会話は笑える)

ラスト近くで気付いたがアマゾンの倉庫がモデル
(ameliz.com)の看板があり人事?女性アガトが
効率優先で労働者より会社の利益優先で
暖房代をケチる、妊娠した女性マニナの契約更新をストップ(解雇)
病気気味の男性社員ジャンリュックを解雇(後に自殺)など
明らかにアマゾンの倉庫をモデルとしてる劣悪な環境や
労働者に配慮しない利益至上主義批判が混じってる
(アガトが解雇されたのは想像だが妊娠してるマニナの解雇が
理由だと思われる、映画内だけの展開で考えられるのはそれ、
もちろんフランスだけでなく違法)

この時産業医マルクが妊娠していた事等をアガトに
告げ口していたと思い込み(可能性は高いが真否不明)
言い争いになりマルクがオリヴィエの家庭問題を揶揄した為
掴みかかったり、オリヴィエの妹ベティが劇団舞台があるので
帰ると言ったら引き止める時に(彼女も彼女で退屈な仕事だと
売り言葉に買い言葉でケンカにはなっていた)
<どうせ無職独身子供無しだから構わないだろう>とネトウヨ批判を
言ってしまい傷つけてしまうなど感情で動き決して完璧ではない
事が描かれてる、しかし部下への配慮などは出来信頼もされてる
それが理由でラスト近くは昇進を打診されるが魂を売るか
自分を貫くかの選択を迫られ結局は出来ない事は出来ないと
迷う(新しい上司が中東系でそういうフランス社会の新しい
流れも描いてる)擬似民主主義で子供達に投票させ残るか引っ越すかを
選ばせ最終的には組合専従を選びトゥルーズへ引っ越す事に、壁に
引越し先をペイントし帰って来なかったローラにメッセを残し。

僅かながらデモクラシーも描き(最高だ!悔しい人が少ない)
訴えてる事ではないが汚らしくてもロマンデュリスの
カッコよさは隠せず、子役も将来はイケメンになりそう。

日本人の感覚では理解できずフランス人の感覚では
日本のwork slave 会社の奴隷は相互理解は不可能だろうが
フランス映画では<嫌な仕事は金の為に自己を偽ってまで
働かない>という結末が多い。