扶桑社 兵站 レヴュー

 

☆ 扶桑社 「兵站」重要なのに軽んじられる宿命
  福山隆 著
  ¥2,000


驚いたのが扶桑社にしてはイデオロギーがゼロ
陰謀論もゼロ
自衛隊凄いもゼロ
防衛費を増やし兵器を爆買いしろもゼロ

むしろ太平洋戦争中の日本軍を貶す貶すそれどころか
敗戦時に自決した軍人に「敗戦時に自決するくらいなら
開戦前になぜそうやって諌めなかった」と指摘するほど
(500人くらい自決したそうだが開戦前に大将中将~500人の
士官までが戦争をするなと自決したら世論がどうなっただろうか)


九州補給処処長(まさしく兵站の要)を経て西部総監部幕僚長で退官
(最終階級が陸将)雑誌 丸にも時々執筆をしてる。

8月くらいに北朝鮮の金委員長の死亡説が流れた時にも掲載されてたが
殆どのメディアは死亡報道に躍り上がって喜んでいたが
実際には残念ながら生きているので、この手の政治・諜報情報に
関する事は守備範囲外で書かなければ良かったと思う。

具体的内容の流れは

日露戦争(陸上 海上

太平洋戦争
ガダルカナルインパール

朝鮮戦争

ベトナム戦争北ベトナム軍の兵站とそれを攻撃したアメリカ軍)

湾岸戦争

WW2ではロンメルやバルバロッサ作戦(東部)も触れてる


以上の戦争を兵站上から分析してる
(はじめに出エジプト記から例題にして
兵站の理論と説明)

もしかしてキリスト教徒なのだろうか?

それはともかく何処に着目するかで見方は変わるが
日露戦争兵站や諜報は興味深いし、ベトナム戦争
北ベトナム側の戦死者が圧倒的多数でアメリカ軍の方が少ない、
それにも関わらずアメリカが負けた事は兵站を叩けなかったため
補給が続き武器弾薬食料が滞らなかっただけではなく、
正規戦型の固定観念での兵器体系と戦略戦術・・・・
アメリカが何故戦略的敗北をしたか指摘したら終わらない。
(世界有数のドラック生産地帯から遠くない国に
布陣したアメリカ兵が”嗜まない”はずがなく内部崩壊していたとか)


本のレビューは 出版社か書店のサイトが上位に来て
レビューを書いても読まれること検索にヒットする事はないし
具体的説明はしない何時も通り。

戦力逓減の法則だとかネットで調べても出てこない事からし
やはり「重要なのに軽んじられる宿命」で誰も注目せず
特に日本は兵器とそのスペックと妄想戦争のストーリーに
傾注しすぎなのも分る。

 

 

PS 英国映画「1917」のラストシーンで
 弟の戦死を知った後にジョゼフ中尉がスコフィールドに
 最期に一緒にいてくれたことを感謝し
 <食堂へ行け>が泣ける

 とレビューに書いたがスコフィールドが殆ど
 飲まず食わずで移動し空腹だった事が中尉には
 想像出来て、そういう下級兵士を労わり配慮する事が
 優れた士官の資質だから(場合によっては死んでくれ
 同然の命令を出すのだから平時は最大限の配慮を払うのが
 上官の務め)

 そしてこれが兵站であり福山隆氏が小隊長になったとき
 小隊陸曹から真っ先にアドバイスされた事だそうだ。
 
 兵站というよりリーダー論 リーダシップに属する話だが
 こういった人心掌握など組織では必ず必要な事など日本の
 スペックマニア軍事ヲタ達は全くしない(分ってないから)
 失敗する作戦はリーダーが嫌われ者だったとか失敗する理由があるのに。