レヴュー プロミストランド &北海道の問題

 

☆711
原題<PROMISED LAND>
邦題「プロミスト・ランド」2012 FORCUS FEATURES

オープニングを見た瞬間この映画が傑作である事は即座に判明
数々の名作を手がけている会社だFORCUS FEATURESに外れ無し
外れにFORCUS FEATURES無しどちらでも良い、大衆受けする内容でない
しかも今話題沸騰中のシェールガスについて批判と受け止められる内容であり
超巨大企業に刺激を与えかねない作品、そういった作品を配給する凄さもある。
物語上直接的には言及してないがこの原題が示すのは「神が約束した地」という
意味があり(直訳だと約束された土地)、つまり日本人には感覚が薄いが
キリスト教的な宗教観(正直を尊ぶとか)がこの映画の根底にある
それでいておもしろいのは教会や祈りとか信仰心を示す実際のreligionは全く
描かない。(もちろんキリスト教徒の全てのアメリカ人がその教義を実直に
守ってる事はないし殆ど関心が無いやつもいるし捨ててるに等しいのも多い)

1/いざマッキンリーへ(ペンシルベニア州
2/スーツを脱いだら
3/アリスとの出会い
4/集会の日
5/不穏な影   (環境保護団体)
6/マックナイト(街で唯一のバー)
7/アテナの戦略(小学校で環境破壊の実演実験授業をする)
8/すっかり悪者に
9/祭りの前(7人くらい何も言わないのにボランティアで祭りの手伝いをする)
10/スティーブの故郷(反対派のリーダーと食事をする)
11/ダスティンの正体(同じグローバル社で悪役を演じ注目を逸らすのが目的)
12/希望の納屋

1/防水カメラが隠された(撮影の為)”水”、その中から見上げたスティーブの顔
トイレに係員がいるような高級レストランで面接、出身地でキャタピラー社の工場が
閉鎖した事が繰り返し出てくる街に向かう。そのペンシルバニアでどこかの
農家のオッサンが朝からピックアップトラックから荷物を納屋に降ろし
出かけるそして街に着いたスティーブ(マット)と互いに意識せずにすれ違ってる
これは誰も気付かぬ伏線となってる(見返さない限り)
オープニングでの超高級レストランでの洗顔と中盤でのド田舎の寂れた
モーテルでの洗顔がその状況を対比して描くし、水が根底に有る事も示す。
シェールガスの採掘時等に)


2/街の雑貨屋で買い物地元で売ってる服=地元民みたいな格好を買ったりする
そこでスー(スティーブの仕事の相棒)と店主の会話がまた秀逸で(私には)
こういったことが如何にもアメリカ店主が<チョイワルオヤジ/死語>

農家を訪ねて採掘の交渉をしていくのだが子供にジョークを言って仲良し
になったり、農家での会話も演技とはいえこういったことを交渉するのかとか
メリットばかりを強調し金が<降臨>してくると営業トークで説き伏せていく
エーカー当たり2000ドルで月間4万ドルが採掘権として支払われ
ガスが出たら井戸が生む利益の8%で数百万ドルが入ると説明する。


3/街のダイナーで街のスーパーバイザー上級委員から<賄賂>を要求されてスティーブは
足元を見て3万ドルと答え要求委員を怒らせるが、ここでスティーブも
その交渉の上手さ論理性を見せ付ける(その場では勝つかそれが後々響く)
街の唯一のバーでビールを飲んでいて近くにビールをオーダーに
来た女性と会話をして顔見知りになる。
「誕生日の女性に奢らないの?」「間違えた合図になるからやめとく」
(こういったアメリカ的な会話にKOされてしまう)
テキーラVS真水の早飲み競争をする・・・勝負けを描かず想像させる手法で
負けを描くとか邦画では50年後でも出来ない描写(邦画は丁寧に結果まで撮影する)
<ABSOLUTELY MADNESS>”狂気の沙汰”

4/集会でフランツイエーツという老人が救世主ではなく水質汚染も起こると
反対意見を述べる、この人が冒頭でマッキンリーに到着したスティーブと
交差していた人で詳細なネガティブ情報を知ってる、
スーパーバイザーへの賄賂を値切ったのが判明し不機嫌になり住民の多数決で
決められる事になる。フランツが<MIT卒><コーネル大学で物理学博士>
ボーイング社で32年間研究開発><定年後の趣味で高校教師>という
とんでもない知識人で反対派のリーダーとなってる(こういった人材が
ゴロゴロしてるというのもアメリカの恐ろしさ、もちろん高卒の労働者もいる)

5/省略 6/雑貨店のオーナーに勧められれバーで歌を歌って皆の心を掴む
という手法で契約を増やす作戦を実行するが<環境団体のダスティンノーブル>
がスーの次に舞台にあがり演説をぶって「歌え」とヤジが飛んでそこで
ブルーススプリングスティーンを歌えとなりそこそこに歌う
(心を掴む)

7/環境保護団体アテナのダスティンが<戸別訪問>をして反対派に
パンフを配りそれを受け入れた農家の敷地に看板を立てまくる
<グローバル社帰れ>、モーテルの部屋のドアに貼られたり嫌がらせも。
小学校の授業ではアリスがシェールガスの採掘方法を実演する
ダスティンを許可してる(つまり教師の裁量権が大きいこういった部分も
アメリカの凄さがある)化学薬品をミックスした汚染水をミニチュア農家に
バラ撒き火をつける(水道から出てきた水が発火する怪奇現象が
シェールガスの採掘地付近で起こるそうだ)
8/ダイナーのウェイトレスが冷たくなりダスティンが会話の中心に
為っている、スティーブが訪ねた農家で石油の為だとイラク派遣を批判し
シェールガスが有れば必要ないと言うがその兄弟がそこで戦死し甥を育てていた。
「契約したら何のために戦死したのか説明出来ない」と拒否される
イラクアフガンの影が図らずも描かれるし貧しくとも今のままを
後に残すのが自分達の使命だともきっちりと理解している)
感情論でもあるのだが正しい論理でもある、こういった反対論者の
存在もアメリカらしさが垣間見える。
<リース契約は出来なくとも金の味は教えるのだ>と田舎の祭りを開く
準備をしたり野球教室のスポンサーになったりする
(日本より金の使い方が上手だとも分かる)

9/バーで喧嘩になり「金を貰え、貧乏のままで良いのか
ファックユーマネー、ぶっ飛ばせ、大学の資金もファックユーマネー
カーローンもファックユーマネー、政府補助金を貰ってるじゃないか
補助金を打ち切られたらお終いだ その時は思い出せクタバレ!」
パンチぶん殴られる

10/祭りは大雨で中止 反対派のフランツが通りかかり食事に誘う
 (こういった懐の深さもアメリカらしくおもしろい、もちろん全ての
 賛成派反対派がこういった理解をし合ってるとは思えない)
スーが家庭では料理の手伝いに回り息子が主役だとかそういった会話
(日本では無いだろうな)アイオワ州エルドリッジというスティーブの
出身地の話になり衰退した町のことを語る、これもアメリカの現実
衰退した町に金を提示して助けてるつもりでもそれは間違いだと
諭されもする。

11/アテナが皆に見せた牛が農場で死んでいる写真が一部嘘だったことが
判明しダスティンがインチキをしていたとわかり圧倒的に有利になる
(印象操作をしていた事になる、牛が死んだ農場があったことは事実だが
別の州の画像を加工していたそれを示せば良かったが自分の農場だと
言う為にうそででっち上げ墓穴を掘った)
しかしダスティンがグローバル社つまり同じ会社が
送り込んだ偽者で高校教師のフランツから目を逸らす為に町民を誘導した
(幾ら弁が立っても所詮よそ者だ)


12/集会でスティーブは自分と祖父の事を語る(アメリカ人の祖父は
まともな人間には教師や医者と弁護士みたいな偉大さが刷り込まれてる)
そしてダスティンがフランツを阻止するために逆に作り出した活動家だと説明し
会社は住民は思い通りに為ると信じてる。足元に莫大な金が埋まってる
リスクゼロだと言ったのは嘘だと謝罪する。どこへ進むのか?失うべきでない
→投票は恐らく反対多数となる そして集会での発言を報告されスティーブは
その場でクビ、スーはその足で雑貨屋で最後にガムを買い店主は金を受取らず
ティーブは農場を継いでいたアリスの家を訪ねる(恋愛感情は互いに有った)
音楽も良かった

この討論会場での体育館らしきところで少女がレモネードを
小遣い稼ぎに販売していてスティーブが代金を多目に払い
残りはチップにと渡すがその少女が断った事も象徴的


金(嘘) VS親から受け継いできた土地(正直)どちらが大事か
虚偽の説明で契約するのと嘘がばれた時に隠さずに教えるのか
会社の奴隷か信念が大事か


☆北海道核処分施設調査誘致

所々にコメントが入ったレビューの後に連続して書く
北海道の寿都町だったか村ともう1つ同じく西部の自治体の
田舎村長や高齢議員達が自分達の無能のあまり町が衰退し
金に目が眩み金欲しさと国が人参をぶら下げて調査を誘致する
自治体を釣ったらゴキブリホイホイ同然にくっ付いてしまった
だけではなく住民投票の要請すら蹴ったくった。

具体的費用は忘れたがこれを貰うだけもらってもその次の段階で
北海道知事などが拒絶するので誘致設置は難しそうなのだが、
住民の意思を全く尊重しないし聞きもしないし議会で討論もしない
福島の原発処理水を大阪湾に注ぎ込むとカッパ市長がビッグマウス
叩いたら漁師等が反対したし費用対効果で政府も口先だけで
歓迎したが実際にはやる気ゼロの方針を出すコメディーもあったが
原発を稼動する限りはゴミは出る(福島は稼動してないが)

金を受取った自治体が発展してるか?原発の地元は発展してるか?
金の使い道を間違えてるしその手の先にカネありきで判断する
程度の首長や議員では先は見えてる。

政府側の正しい説明と住民の説得が重要でイソジンの会が
(架空の)メリットのみを示しデメリットを隠すなど
その本性で卑怯卑劣な手段で運動したが似た事をすべきでない。

PS
日本では記事報道すらされないが近年の
他国でのシージャックや北朝鮮の違法瀬取り貨物船への
突入やVBSSの画像映像は報道公開されてるのがある。