レビュー

 

☆BOOK レビュー


潜望鏡上げ 潜水艦長への道 山内俊英 2017年
かや書房


2021/01にレビューを書いて依頼上げてなかったが
読書そのものは月間3冊~5冊程度では進めてた。

現在70代になる自分の体験を第三者に投影して
1人の自衛官の成長記として潜水艦配置~
機関士~航海長~指揮幕僚課程~海幕(広報)
水雷長(=副長)~艦長としての経過を
説明を兼ね1つの物語りに仕上げてる・

恐らく30年以上前の体験を書いてるので
機器類が具体的説明が無いにもかかわらず
やはり古そうな事や具体的艦名などを書かない。


そしてネットで騒がれる海自の優秀さなどより
普段の作業などを淡々と、整備予算が不十分で
小さな腐食程度は放置し大きくなってやっとで
対処せざるを得ないこと、別段隠す事でもないのに
絶対に御用番組や提灯記事では触れない
<機器の故障>も普通に発生してる事も書いてる。
(韓国軍の兵器が故障したとか騒ぐが、自衛隊でも
普通に発生し、自衛隊が公表しない公表しても
報道しないから自衛隊の兵器には故障がないと
御用評論家やそれら短絡思考の自称軍事に
詳しい方々が勘違いしてる)


訓練やプライベートにも触れ結婚した事
等々進んでいき、訓練生が乗組みドルフィンマークの
取得をしていくのだが<希望者>ではなく<適性配属>で
優秀すぎて希望しないのに入ってくる人がいて、
後期後発(出港に間に合わず)になった上に行方不明となり
潜水隊で問題になったこと(大騒ぎをすれば艦長などの
昇進にも響くので誰しも騒ぎたくなく穏便に済ませた、
この辺も米軍とは違い、1度問題を起せばただでは済まないし
そういったトラブルも欧米のドキュメンタリーは隠さない)

ツリムダイブとかやる事は知っていたが
何の為にやってるかとか、<猫とネズミ>の
追いかけっこのテクニックの一部の描写
(深度だけではない事を知らず、深度だけで
優秀と書く奴は全く海中の事を理解してないと
自白してる事になる)

具体的任務はほぼ触れず、
海自でも航海中の乗組員で
家族が危篤状態になれば
ヘリ等の最短地点までコース変更し
家族の下へ向かわせるとしていた
(発足直後は先ず有得ない、そもそも
ヘリが殆ど無かったし旧日本海軍
古臭い固定観念

英国海軍のドキュメンタリーを見ていたら
NATO指揮下の作戦行動中フリゲート
実戦下(対IS戦空爆)空母シャルルドゴールを
護衛する任務を命じられそこへ向かう途中で
乗組員の妻が初産で産気づいたと連絡があり、
ギリシャ国際空港へ搭載ヘリが届く距離に
進路変更をしてまで下級乗組員の為に艦長や士官
が打ち合わせて行動をしていたのは驚いた。
(しかもこの時は下級士官に艦長の経験を積ませる為に
1日艦長として少尉レベルの士官に艦長の椅子に座らせ
ほぼ全ての判断を任せていた、その任が終わって初めて
艦長も自分も同じことをしたと判断を支持した、
アセットや乗組員を危険に晒さない限り口出ししない)


このドキュメンタリーは艦内での昇進試験の様子とか
日本国内での自衛隊礼賛とは比較にならない
リアリティーがある。