映画レビュー 小さな独裁者

 

☆1200
原題<THE CAPTAIN>
邦題「小さな独裁者   」ドイツ語2017

DER  KANPTMANN ドイツ語
原題が英題かドイツ語だったか忘れた
原題<大尉> 

1.脱走兵
2.大尉の軍服
3.へロルト親衛隊
4.総統のご命令
5.犯罪者収容所
6.即決裁判
7.全員撃て
8.万歳
9.我が部隊へ
10.私は大尉
11.売国奴の代償を
12.最大限の努力


脱走兵が脱走兵を大量処刑し最後は自分もそれらの
犯罪の結果処刑される史実の物語。


空軍へロルト上等兵=偽大尉
陸軍フライター上等兵

認知バイアスで大尉の軍服を着たヘロルトを殆ど
疑わず、疑問に呈しても強い態度で出られると
職務よりも自分の命と地位が惜しい者はみな従った。
(この映画をdaigoと同じく心理学学位がない私が
心理学的に解説してもdaigoを信じない正常な人には説得力が無い)
ヘロルトは優秀な詐欺師の資質があった(厳密には詐称だが)
優秀な詐欺師は「自分の嘘を嘘と思わず事実と信じ込む」
(偽の証明書も念じれば本物となる、当時はマイクロチップなどない)
無能な詐欺師はどこかで自分の嘘を信じていないから自信がない。

敗戦間際のドイツ情勢としては18世紀イギリス「血の法典」が
何故かドイツで復活していて「パン1つでも盗んだら死刑」
ヒトラーの悪口を言ったら死刑」「国家に疑問を呈したら死刑」・・・
これが民間人と軍人両方に適用され、民間人が民間人を即決裁判で
リンチし処刑したり悪名高き民族裁判所のフライスラーが
反逆罪で<白薔薇>の参加者を死刑にしたのも有名。

軍人にはさらに厳しい軍法があり脱走兵やその疑いで
3万人ほど死刑判決が下されうち19,600人が処刑され
それ以外も最前線送りの懲罰部隊で実質死刑に等しい減刑
(脱走兵と戦線離脱の区別がつき難いのに)
最終的に2009/09/08日に
戦時反逆の<”不当”>判決は全て破棄され
脱走等の不名誉な判決は無効になった(一部は正当)
第二次大戦中の米軍で146名が処刑されてるが、その内の
1人だけが脱走兵でそれ以外は強姦や殺人などの一般的な
刑事での重犯(軍法にも違反するが)、
しかも強姦の犯人はほぼ黒人で冤罪と人種差別があったとされる。
米軍の脱走兵は21,000人で死刑判決は162人で実際に
1人しか執行されなかった(無許可離隊も含めてる可能性がある)

 

フィールドヤーガー(MP) ヨーゼフ大尉
途中で<道連れ>が増えて脱走兵の収容所へ
話がトールテルで膨らんで誤解が誤解を生み
突撃隊シュッテがヘロルトを<即決裁判執行官>と誤解し
ヘロルトはその話を否定せず脱走兵を虐殺する。

収容所が破壊され地方都市に流れ込み白旗を掲げていた市長を
銃殺しその市を乗っ取るが恐らく密告されたのだろう
野戦憲兵が乗り込んできて逮捕される
(その前に酒池肉林をしようとした時に好みの女性を
奪われたヘロルトは奪ったキピンスキー上等兵を復讐で
銃殺するなど元々ない結束などが崩壊していた、
キピンスキーも異常人格)

 

最後の軍法会議もブラックコメディー
父の教えです
「過ちを犯したらせめて認めろ」
市長は撲殺ではなく銃殺です。
父親は教えるべきだった
「脱走兵になるな」「上等兵が大尉の軍服を着るな」
「脱走兵が脱走兵を処刑するな」

裁判長は死刑を申し渡そうとするが
検察官相当の軍事が弁護する
「4時間も直立し微動だにしない強者で感心する」
「最大限の努力を払おうと決めたのです、
負け犬根性の蔓延を阻止し戦意を高揚させようと」
「極限状態では蛮行が増えますが、今回は異常」
「私は昔を思い出した、やたら発砲してやんちゃした」
「前線へ送る懲罰措置」
「ベルリンへ向かい帝都を取り戻します」と舌の根も乾かぬうちに
脱走しイギリス軍に捕まり死刑。


ECはロケ地の古い都市で彼らが撮影時の制服等を着て
現在にタイムスリップして一般市民に狼藉を働く
「間違えた権力者の怖さ」を描く。
<誰もがヒトラーになり得る>
イジメ等で暴力がエスカレートするのと同じ
ブレーキが利かなくなる、リーダーも悪いが同調者も悪い。

現在でもこのような独裁者が簡単に出てくる
環境が整っておりその警鐘という意味もある。
(偽者を信じ込む、そもそも自分たちで国や社会を
良くしようとせず一人に託す時点で間違えているし、
そんな社会を選んだ国はほぼ失敗してるのに何時まで経っても
学ばない)