映画レビュー ユダ&ブラックメシア

☆1226
原題<JUDAS AND THE BLACK MESSIAH>
邦題「ユダ&ブラックメシア   」2020WARNER 

原題 <裏切り者と黒人救世主>
最近のハリウッドのロケ先は税制優遇で
ジョージア州が定番だったが黒人差別が罷り通る州制度に
反発しハリウッドがロケ地を拒絶しオハイオ州に変わりつつある、
ただしこれはその制度導入以前に撮影。

ブラックパンサー党
FREDRICK ALLEN HAMPTON 議長

インスパイヤーは<事実>ではなく<脚色てんこ盛り>
正確な再現が不可能を除いても忠実に描く事は意図してない。
オニールとミッチェル特別捜査官が多数の目撃者がいる
レストランで正々堂々と会うなど有得ない事も多い
(仮にウェイターが党員だったら?)


キャスティングがよかった

1989年 PBSドキュメンタリーの撮影の倒叙
アイズオンプライズ ビルオニール

1960~1970年代の事を息子にどう話す?


BLACK PANTHER CHAPTERS
「資本主義社会を壊す」無料診療所や無料朝食解放学校 無料法律相談

国家を脅かす最大の敵 ソ連や中国よりBY フーバーFBI長官

1968年シカゴ(シカゴが舞台)

レオンズという黒人バーにFBI風のコートと帽子を装った
ビルオニールが入り込んで偽のFBI身分証を見せて
車を盗もうとするが抵抗され・・・ばれて逃走し最終的には
警察に捕まる。

エリート大学を優秀な成績で卒業するか警察で優秀と鳴らし
スカウトされないと入れないミッチェルFBI特別捜査官が
担当し<何故ナイフや銃を使わなかったのか?>と質問する
「銃より威力がある」「バッジは権力の証明だ」

キング牧師には多少だけ怒りを感じる
マルコムXの暗殺には何も考えない
有罪なら車泥棒で刑期1年半 捜査官の成りすましで5年
それとも帰宅するか?

ただで帰す訳がなく<スパイとして入党し情報提供を求められる>

ハンプトンは演説が上手だった、キング牧師も同じで
こういうのは天性で親がどんなに偉くても遺伝しない。
(ただし民族衣装を貶したりそれなりに敵も作る)

ゲバラ「言葉より行動を」 
数は力だ 全員の力が必要だ

独立宣言は貧乏人には対象外

何が必要だと聞かれ車
違反切符を切られ口実にされるからハンプトンは
車を運転しない(オニールは詐称の根拠を語る時の
その論理思考など決して愚か者ではない)

他のグループ/クラウンズの溜まり場つまり
オニールが詐称したレオンズにハンプトンたちが
共闘を持ちかけるために入るが、縄張り争い
主義の違いから一触触発になるがぎりぎり出て行く。

後々ハンプトンは白人貧困層や南米移民系のグループと
共闘するなど先見の明もある。
政府が脅威を感じるのは分る、しかし人種差別も
酷いが警察の取調べ以前に逮捕拘束時にフルボッコ
人権無視や刑務所内での処遇など酷すぎる。

スピード違反を口実に警察が逮捕した黒人3人を
KKKに引渡しKKKは殺害しペニスまで切断、
KKKとパンサー党は同じだとミッチェルは主張する。
(ミッチェルも主義主張が正しいかは兎も角、クソ野朗で
なかったのは確かだ、スパイのハンドラーにしては
上司は有りもしない陰謀を企むのに比べ)

パンサー党がクラウンズのシマに乗込んだ時
オニールが車泥棒だとばれるが詐欺師は言い訳も上手く
難を逃れる(そしてこの時の会話が後々を示唆してる)

「今火事になったら何を考える?」「消火と避難」
アメリカは炎に包まれてる火を消さない限り他の事は無意味
「フレッドならナメクジに塩を売れる」

ブタ  黒人側から警察官の蔑称
1969年虹の連合
FBIは痺れを切らし<アイスクリーム窃盗>で逮捕
党は大打撃 寄付は減り党員は減少

サツに追われてるニューヘイブンからの党員 ジョージと言うやつが
来る、アレックスというNY出身のスパイを拷問で殺害したという
同じスパイのオニールは怯えミッチェルに会うが彼は
事務所の見取り図を要求する、ミッチェルが上司の逮捕申請をしたら
ジョージは別のハンドラーが使うスパイだった。
(濡れ衣を着せてジョージは身代わりに殺害した本物スパイが)

「TAKE A THIEF TO CATCH A THIE」
毒をもって毒を制する

オニールが投獄された時に交際相手デボラの妊娠が分る
仲間のジミーが警察の横暴に発砲で対抗したら当然
撃ち返される、パンサー党の本部前で警察が嫌がらせをし
党員はデボラを逃し3人で発砲(オニールも逃げる)
最終的には警察は燃やすしかし事務所にはクラウンズが手伝いに来て復旧する。

彼はスパイも辞めたいが刑期と同じ6年半は逃れられない
ミッチェルと上司がフーバーに呼ばれる
朝鮮戦争で敵を殺害した家族の元へ帰る為なら何でもした」
オニールを別の発想で活用するんだ
(ハンプトンを無効化・中立化しろ、低評価者には分らないだろうが
neutralizingは政府用語で殺害の婉曲表現、長官がミッチェルと
サシで会話したかも歴史上は怪しいが映画の演出、だから
史実に基づくの字幕は拙い)

オニールの控訴審)が受理され一時的に彼が釈放される
投獄されるよりとパンサー党の仲間は国外逃亡を勧めるが
その前に殺害される、結果論とは言えむしろ刑務所内で
影響力を発揮した方が長生きした可能性があったのは皮肉、
ただ暗殺されたからこそ殉教者として神格化もされた。

警官に発砲したジミーが病院で警官達に殺害された
追悼集会
「私は革命家だ」その集会にミッチェルが潜入している。
民衆の為に生き民衆の為に死ぬ その通りになる
解放者は殺せても解放運動は殺せない。

ジミーの死の真相を知りたかった友人ジェイクが
病院の清掃員レジに質問しに行くがレジは自分の
生活が優先で(誰もが公民権運動に関わったわけではない)
断りライフルを見たので警察に通報し銃撃戦となりジェイクは
警官を殺害もしたが本人も射殺される。
(不利な黒人側は感情で動くべきではなかった)
しかもジェイクの家には嫌がらせの電話が殺到。

オニールは報復を叫び煽るが賢いハンプトンは乗らない
羽振りがよくなったオニールがミッチェルと会い
ハンプトンの部屋の見取り図を要求される、
1度は断るが裏切り者の末路を教え脅迫する、
バーに行って酔っ払うオニールが見ず知らずの人間の
近くで<FBIのネズミ>と正々堂々と言う、
やばい証拠を付きつられたオニールはその人物の言う通り
ハンプトンに毒か睡眠薬を盛る、その夜シカゴ警察が
ハンプトンの家に侵入し仲間にも乱射し最終的目的
無抵抗の彼を殺害する。

オニールはメイウッドガソリンスタンドの主にと
FBIから金と鍵を貰う、累計20万ドル分。
1990年1月15日放映でその夜自殺
遺族は市警州警察とFBIを民事告訴
12年後185万ドルで和解。

近年のブラックライブズマターとは直接関係なく
制作されたが結果的に時期が重なる先見性、
敢て解釈すればそれ以外の民主主義平等全てに通じる。
(ハンプトンの偉大さを伝える映画だが)