映画レビュー グッドナイト アンド グッドラック

☆1175
原題<Good Noght and Good Luck>
邦題「グッドナイトグッドラック   」2005アメリ

憲法修正第5条
Invoke  the 5th Amendment
「自己に不利益な供述を強制される事はない」

100分以内で簡潔にまとめて必要なシーンだけ
テンポ良く構成されてる
マッカーシーを俳優に演じさせず当時の映像を
用いる事でドキュメンタリー的に演出される部分と
<俳優達の演技もモノクロで統一>し完全にシンクロ、

1958年 倒叙
チェーンスモーカー エドワードRマロー

マッカーシーは1950年にデタラメな情報で
国務省<205人のリスト>攻撃から開始して最後は
マッカーシーにブーメランが直撃しアルコール中毒で誰からも
見放されて惨めな末路で地獄に堕ちた
朝鮮戦争などドミノ理論という妄想で
共産主義への誤った脅威を感じた)
当時からポピュリストが跋扈していた

ラジオとテレビの現状を率直に語りたい
歴史は自分の手で築くもの、50年後100年後に
今のテレビ番組を1週間見たとする、目に映るのは
今の世に蔓延る退廃と現実逃避と隔絶、アメリカ人は
裕福で気楽な現状に満足し暗いニュースには拒否反応を示す
それが報道にも表れてる、テレビは人を欺き笑わせ現実を隠す
それに気付かなければスポンサーも視聴者も制作者も後悔する。

1953年10月14日

女性歌手の歌が<雰囲気>と場面転換で重要なシーン

テレビ番組制作の流れ(
社内結婚禁止(現在もアメリカ企業はトラブルを嫌い
表向きは社内恋愛禁止としてるのがあるそうだ)
「ナタリー花を贈ってくれ」
国内治安維持法の違法性
アメリカ司法が優れてるのがヤバイ法案が成立しても
結局は違法性を指摘し修正判決を命じるのが普通

マッカーシズムの酷さもあるが
彼に挑戦したCBS シーイットナウのマローたちの
勇気を讃えてもいる 1950/02/09 VA州で共和党
ポピュリストマッカーシーが証拠も示さず
国務省には205名の共産主義者がいる>と発表したのが始り
(冒頭クレジットが200余名としてるのがマッカーシズム
真骨頂で彼は次の日には207名と発言したり後から出る数値は
必ず大きく/多くホラを吹いた)

もちろんこの番組関係者が映画上では1番立派だが
見逃してはいけないのが空軍中尉が権力弾圧に反発し
意志を貫いたことも重要
1953/10/20
デトロイト紙に掲載されていたマイロ・ラドゥロヴィッチという
空軍中尉が父と姉の活動を理由に証拠無に解雇されそうになるが
毅然として拒否したことを放送する事にする
(告発文は公表されてない、その時は召喚されてない)
私が解雇されたらchain reactionが起こり
誰かが同じ目に会う
事前連絡を空軍にしたら大佐2人が抗議(中止要求)に来る
フレッド(プロデューサー)はユダヤ
「ここまで司法を馬鹿にした事件は聞いた事がない」
空軍規則35-62危険人物の定義
共産主義者共産党同調者と深い関わりのある者」
「父親の罪を子に負わせてはなりません」
会長は積極的干渉で止めはしないが危惧してる
部下に汚点がないか調査を命ずる、会社全体を
心配するのも当然、パーマー1人だけ元妻が共産党大会に
出席してたと抜ける

<大反響>は視聴率54.4%
1週間で手紙電報が8000通届き100:1でマローを賞賛支持
マッカーシーが<共産主義者>だと決めつけ
FBIの証人がいると言いながら証人を出さず
証拠も出さず罵倒し見下す
11/17 
ワシントンでマッカーシーの飼い犬スリーン調査官が接触
<嘘っぱちの証拠>を渡して”軽く脅迫”
(実在の映画登場人物を調べたら基本的に”善人”か
”クソ野朗”の両極端タイプが多くいうまでも無く奴は後者)

マローがソ連に雇われていたとテキトーな
決め付けるが<研修でモスクワに行った>のが証拠
「市民自由連合/ACLUは共産党の手先だと知っていましたか?」
と証拠も提示せず言う

(この委員会の発端はACLUがIN州での
総会場所を在郷軍人会に突然拒否された事、最終的に教会が提供し
ラドゥロヴィッチ事件とACLU報道の2つを評価され冒頭の表彰)
/11/24 「インディアナポリスでの論争」を放送
「市民自由連合は破壊主義団体」と2度、しかし根拠なし
司法省もFBIも否定するだろう

告発と調査の一線を越えてる 
疑いは事実は限らない、有罪を決めるのは証拠と適法手続き

「私を批判する者は共産主義者」と根拠なき断定

シェイクスピアを引用する格調高さ

マッカーシーが将軍と士官の話をしてるのは
オッペンハイマー事件の余波、ペレス大尉事件)

1954/03/16
アニーリーモスとマッカーシー委員会 視聴率59.6%
モスが暗号員と決め付けられたが委員会翌日に陸軍は
<通信交換手>と発表し、暗号員を否定
(どれだけマッカーシズムがいい加減だったかもわかる)


ラドゥロヴィッチが復職

ヴェノナ文書とマッカーシーのリストが
一致してないのもマッカーシーの攻撃が
<真っ赤な嘘>という皮肉(ヴェノナの信憑性が
低いことを考慮しても)

アニー・リー・モスという女性が
カフェ店員から国防省暗号解読室に転職したら
スパイ扱い転職がスパイ?
共産党員である事は調べが付いてる」証拠なし威圧 
「弁護人に発言は認められない」
transmit以上はしてない(暗号解読には技術と知識が必要)
<別の証人もいる>が委員会で証言しない
「ここで彼女を共産党員と決め付けるのは不適切」
正当な法手続きに従い告発者と対峙し証拠を開示すべき
伝聞証拠で裁くのは好ましくない→正論を吐かれたら
議長代理の発言を削除し逃げる
FBIが証拠を握ってると言っても法的拘束力はない」
単なる噂で人を裁く事はできない」

マッカーシーが反論の為に提供された枠で
1954年4月6日マッカーシーが反論出演
シーイットナウに出る


マッカーシーが3週間の猶予があったにも関わらず
マトモな反証をせず墓穴を掘る
「マローこそジャッカル共のズル賢いリーダーなのです、
彼らの餌食になるのは共産主義者を暴く為闘う人々」
「しかも驚くべき事実がある20年以上前共産主義
宣伝に関わっていた、例えば国際教育協会で事務局長を
務めていたがこの団体の正体はソ連諜報部の手先で秘密警察的な
仕事を行っていた」証拠を出さずに言う
しかもこの映画では見せてないが実際はアルホリの症状が出て
かなり醜態を曝し国民から嫌悪感を持たれたらしい

IWWの会員だと認めてる→事実無根

「私は議員失格です」→その通り
「私は決して怯まない」→怯んだ挙句アル中で地獄に向かう

マッカーシーが1940年代後半は日本を叩いた事までは
知られてない「権利を重んじるものは共産主義者かその一派と決め付ける」
短絡的な主張

「成熟したアメリカ人なら核爆弾や洗脳に頼らず
共産主義者と渡り合える、我々の信念や決意は固く
武力で競わずとも思想で優れている」

マッカーシーとコーンが上院公聴会
秘書のシャインの優遇を迫った(尻尾をつかまれ軍に
反撃された)、聴聞する側から審査され立場が逆転
譴責処分で権威失墜
シャーリーとジョーの社内結婚レイオフ
口実で利用される、ジャーナリズムよりクイズを好む視聴者


FALT IS NOT OUR STARS
THE FALT IN OUR SELFS
OUR SELFS

シェイクスピア

SHOW OUR CARD

マッカーシーが審問委員会で
<証拠も見せず、証人を出廷させず
虚偽の発言でスパイ>と決め付ける恐ろしさと酷さ

しかも審査される人はカメラやあの威圧感などで
完全に圧倒され劣勢

結局はマッカーシーイソジンで墓穴を掘ったイソジンみたいに
自分で墓穴を掘って政治生命を自分で断った
しかし「シーイットナウ」もゴールデンから移され
人員削減されるなど決して無傷で済まなかった
ハイエナのワシントンポスト記者オブライアンに攻撃された
ホレンベックが自殺する等でマッカーシズム
誰一人何一つアメリカの国益にはならなかった
スポンサーのアルコアが撤退したのは
マッカーシーの脅迫があったから
俳優の控えめの演技で昨今の絶叫・鬼の形相で
怒ることしか演技できない邦画とは雲泥の差

ラストはアイクの演説
「建国以来この国では全ての人が自由だ
国民なら誰であれ友人とも敵とも堂々と会う事が出来る
巨大な力に飲み込まれることを恐れる必要はない
ある日突然投獄される事などなく、裁判を受けずに
閉じ込められる事もない我々には人身保護法があるのだ」

歴史から手痛い報復を受ける
もしTVが娯楽と逃避の為の道具なら
元々何の価値もない
TVは人を教育し啓発し心さえ動かします
だがそれはあくまでも使う者の自覚次第です
それがなければTVはメカの詰まったただの箱なのです

大手配給会社がつかなかった(共和党を敵に回す)
ソダーバーグもXP参加

マロー DAVID STRATHAIRN

これだけ良質な番組を作り後にウォルタークロンカイトなど
アメリカの良心とまで言われるキャスターを出したCBSも
馬鹿ブッシュの州兵疑惑を60ミニッツで報じ、その
証拠に捏造疑惑が持ち上がり報道の正確性など信用がかなり落ちた
経緯2015年映画<TRUTH>で描かれてる

当時の流れ(共産主義国家が増加)があったにしろ
1番悪いのはマッカーシーだが利用した共和党
礼賛したメディア、そしてそれを応援支持した国民にも
非がある事は指摘してない映画だが指摘しておく

この番組がTVの幕開けでマローもその
黄金期から衰退まで予想できなかっただろう