レビュー 僕たちは希望という列車に乗った 沈黙する教室 本物映画


☆Das schweigende Klassenzimmer

映画邦題は
「僕たちは希望という名の列車に乗った」

映画邦題を考案するのは生産性上も非効率で
今はグーグル翻訳に掛かればほぼ全ての
原題を翻訳するだけでなく、各国の大使館が
発信する文化情報などでもそのレビューや
当該国在住の日本人が発信するので
原題だけでなくその背景まで解説してくれるる場合もあり
無駄無意味でセンスも無い場合が多いのでいい加減に
廃止して原題をそのまま邦訳するほうが時間と経費の節約かつ
売上至上主義で嘘偽りの邦題をつけるのは詐欺でもあり、
その落差に落胆するのが映画好きの傾向と思う。

この原題は「沈黙する教室」
2008年に原作本が出て2018年に映画化
2019年に翻訳本が出た(独語を翻訳、英語以外は1度英語化され
それを翻訳される場合も少なくないが伝言ゲームとなってしまうこともある)


この映画を見た後で本がある事を知って読んだ
(この手のニッチで娯楽作品ではない作品の為
レビューや宣伝類が少なくこういう関連する事まで
結果表示が出ずまたネットに掲載する人が少ない、
仮に掲載したとしても検索エンジンアルゴリズム
排除される場合もある、全く意味不明なのが
私がアベノマスクを貶してる記事がマスクの正しい
着用方法みたいな検索ワードで上位に出る・・・)

1957年にDDR(旧東独)のシュトルコーという
小さな町の高校でハンガリー動乱
当時有名なサッカー選手だった<プスカーシュ>が
死亡したという誤報が西側の宣伝ラジオRIASで流れ
歴史の授業時間に5分間の沈黙をした事から
国家の問題となり教育大臣(国務大臣)が高校に
乗込みその沈黙の首謀者が出てこなければクラス20名
全員を退学(高校中退)にすると脅迫し、男子15名
女子1名の合計16名(女子4名は病弱の母を残せず
亡命しなかったり残った)が西ドイツへ集団亡命した
事件。

映画ではDDR・大臣や教育局・教員達の横暴さを
描く事によって当時の管理国家や言論の自由がない事
などを描き亡命する事を家族に告げ幼い弟達には
知らせず出て行ったり(漏らしたら失敗する)
逆に親が亡命をするように言った結果亡命する事を
描いてるが。。。。


原作本は自伝であり回顧録であり一部は青春小説だった
亡命に関するパートが大部分を占めるとは言え
映画では亡命の経緯とクラス内での交際でトライアングルで
揉めたり、家族の事を描くがDDRに関しての本を始めて
読んだので東ドイツと言えばシュタージュ・シュタージュと言えば
東ドイツでその監視社会ブリがおそろしい、家族でさえ隣家すら
信用できない社会だと分かる(ただしこの物語の生徒達は
全員ではないが基本的に恵まれた立場で親が医者だとか
共産党の実力者にコネがあるとか、だから進学クラス
将来的には大学進学で合格すれば東独のエリートに
なれる可能性が高かった)

また本では亡命後が描かれ意外な事に家族とその後
何度も面会出来たことが書かれていた
(ただしDDRは連れ戻しを説得させる為に
面会させたが親も馬鹿でないので会う口実に
その話に乗っただけ)

映画では描かれてなかったが案の定で親の立場は
悪くなり解雇されたり不遇を託つ、教師や校長も
責任を取らされる(DDRが職業を決定するのであり
選択肢は少ない希望や選択が出来ないわけでないが
実際は決まってる)校長は映画でも本でも決して
悪者として描かれず苦労人だった、WWⅡ後は
ナチ党員だったらマトモな職業には就けず、かりに
そうでなくても学業は途中で打ち切られてるので
最履修などしてやっとで教師になったりしてる
(その点西ドイツも大変だったみたいだが
規則一点張りで融通が無く・・・つまり能力資質に
関しては西ドイツの教員のレベルは相当高い)

 

結果的に教師が1人西側に亡命したり
強権の為に逆効果を招いた
(そして西ドイツが大宣伝した)

1980年代後半(ベルリンの壁は存在していた)に
亡命での犯罪歴は取り消されDDR・地元へ
戻れるようになり恩師や校長を訪ねてる、
つまり教員や校長のその後が分かるし
亡命した当人たちも全員が大学に合格し
どちらかというと社会的地位は高い方の
職業で成功してる(何も事件が無く
DDRに残り壁が崩壊していたら
どうなっていたか・・・・亡命は
人生が豊かになった)
男性1人が強情というか指導教官と
そりが合わず学位を貰えなかったか何かで
まともな仕事もせず荒んだ生活をした。

DDRに残った女子生徒達も結局は復学が許され
(学校自体が確か潰されたのでは?)
看護師などになった。


大臣や関係者が恐れたのはこの沈黙が
西側の扇動スパイ行為による工作で
それに唆されたいという妄想だった・・・
誇大妄想や疑心暗鬼はマトモな発想すら出来ない。


教育大臣も職権濫用みたいなことで最終的にはクビ
恐らく1940年位に生まれてるから原作者も死去してるし
他の20名も殆ど残ってないはず。
DDRで最も言ってはいけない言葉は<ソ連批判>だったとか
戦後の西側の言葉で言う<過去の清算>でドイツ軍の
兵役経験が有った人はけっこう苦労してること、
西側の文明物質社会を羨む事もいえないし、西側の
製品を持ってる事も決してシュタージュや管理職が
喜ばないことなど映画などでは描かれない事が
色々書かれていた(グッバイレーニンも良い映画だが
あれは崩壊後の事)

原作と映画では集団亡命が同一列車で描写されてるが
実際には異なったり、場所も違ったりイメージや大まかな
流れはその通りだが相違点が多く映画はフィクションが
混ざりすぎ。