書籍軽くレヴュー コードガールズ


☆コードガールズ レビュー プレビュー


映画ミッドウェイを見た後に色々調べてる
(ネット上のまともなサイトは陰謀論をほぼ
更新してるのに未だに真珠湾攻撃暗号解読論を
書く奴は相当なアホ)
レビューもメチャクチャだがミッドウェイの敗因に
南雲長官の無能を述べる奴がいるがそれは
「結果論」として言われてるだけで他にも戦犯は
多数いる(そもそも山本長官が1番酷いし黒島亀人とか
列挙すれば延々とリストアップして最後は昭和天皇まで行き着く)

「失敗の本質」にも章があるくらいに日本軍・日本の
組織的失敗の典型でその1つが情報軽視=論理的判断を
しなかった事が上げられてる
(これはミッドウェイに限らず殆どの作戦に共通するから
結果論ではあるが南雲長官で終わらせるのと意味が違う、
もっとも完敗後に当人と山本長官が責任を取らなかったのと
処分しなかったのは大問題)
もうひとつが敵に暗号を解読された事、逆に言えば
アメリカ軍が情報を重要視していた事の裏返し。


暗号解読に関して「みすず書房」が出してる上記の
本を読んでる、パープル暗号解読論者が勘違いしてるのは
100%解読できていたわけではない(JN-25=オレンジ=海軍暗号書D
も同じく解読はしていたが賞味期限切れで遅かったり全てではない)

もちろん例のAFで日本軍の目的がミッドウェイと判明しアリューシャン
陽動作戦を無視したり有利になった点は大きい
(最大の功労者ロシュフォートがワシントンの無能な暗号解読者達に
敵視され何ら落ち度がないのに最終的には左遷され暗号部門とは
無関係な造船所勤務に回されたなどアメリカ軍が全て素晴しかった訳でもない)

その暗号解読の歴史や経緯を記載してるが女性が執筆してる為か
女性中心に描くのは当然として<当時の社会背景>や女性の地位なども
細かく書いていて、軍事史という側面は半分も書いてない
(そこが素晴しく恐らくネトウヨ真珠湾陰謀論者は99%読まない)
戦う前から負けてると思えるのはアメリカの工業力だけではなく
暗号解読を開戦前からやっていた事など情報を重視していたこと
そしてそれが可能だった事の1つに<アメリカの教育>がある
これが学校制度と軍の採用システムがあり、社会進出をするために
稼ぐ為には大卒を目指すしかなく親が労働者階級でも入ろうと思えば
入る事が出来た(優秀なら)、当時の日本が現在の高卒すら少ないのに
高卒女性も普通にいたのでそれらの女性が10,000人以上も陸海軍別で暗号解読に
従事した(1つの電信を解読するのに多分10人以上が関わるから
それだけ必要になる、完全に読めるのは最後の2~3人だけ
最初の数行程度で重要度を判別する係とか細分されてた
解読した日本語を英語に翻訳しないと高級将校や提督が理解できないから
1つに10人くらい関係する)

何が重要なのか大事かといえば<一定レベル以上の教育水準がある
多数の人間が必要>という事で暗号解読には特に忍耐力など
も必要だが<語学力><数学力><洞察力>などが求められた。
(1930年代は解読の資質に何が重要なのかアメリカも手探りで探していたが
1940年代になる理解把握して採用テストや教本が
整った、これも重要で均一的に大量に人員が充足できた)
戦時中の日本が現在の大学生や高校生を動員しても
<選抜はごく一部しか出来ず基本的に学生を総動員>だから
一部は優秀かもしれなかったが不適格や優秀でない学生生徒も混ざってしまう
(恐らくより簡単な作業へ変更させたり、簡単な作業適性検査はしただろうが)

それに対してアメリカ軍はきっちりと適性検査をして不適格(知力面と
親がポーランド系等は流石に排除した/過度に政治的になり過ぎる可能性)者を
除いた上での作業だから効率はどっちが上なのか比較するまでもない。
(IQテストは元々第一次大戦時にアメリカ軍が士官適格者を
探す為に考案した知能テスト)


話がややこしくなったが<自衛隊の兵器開発に日本の大学が
研究拒否してるのはけしからん>と言う前に優秀な学生を
大量に育てればなにも大学でしなくても企業や防衛省
やれるはずだから本当に必要なのは幅を広げる事で、
一部の分野に期待しても意味がない。
(日本が量子コンピューターで世界に勝てるはずがないのに
大学で研究しろと言うのと変わらない、何が重要なのかは
時代によって変わる、アメリカが暗号解読に人員を大量導入できたのは
それだけ基礎能力が高い人材が大量にいたから、こんごそういう
事態は発生しないだろうが防衛分野だけに特化してもしょうがない)

 

私が思ったのはアメリカの本当の凄さは10年先以上を見据え
情報戦を重視したりその為にこつこつ暗号解読者を育成したり
基本姿勢がスタートから違った(通信教育で
暗号解読者を養成していた・・・本にも書いてあったが
正確には”ふるい落としていた”から開戦後それらの合格者は
幾つかの経緯を経て士官になってる)
アメリカに限った事ではないが民間企業などで男性が出征し
穴埋めを女性が担った事が後々の社会進出に繋がる、
そして戦争終結後に男性が戻ったら<あっ気なく>解雇されたそうだ。
(例外中の例外を除き=独身、出産したら退職も当時の
アメリカでは当然だった)

日本は目先優先で10年後20年後のことなど本当に考えてない

PS
陸軍暗号は解読されなかったとされるのも都市伝説で
実際には枝葉末節は解読されていた(5種類以上の陸軍暗号があり
頭脳ともいえる参謀本部暗号だけが無事だったらしい、しかし
参謀本部暗号を受取った方面軍が末端に連絡する際に参謀本部暗号で
なく、連絡用の暗号を使えば一部は漏れてしまうからそういう類推から
分るし部隊間の送受信がダダ漏れだから前線の様子もほぼ解明されてた
(食料燃料弾薬不足)