BOOK Review ヒトラーの脱走兵

 

ヒトラーの脱走兵

副題 裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー


中公新書

對馬達雄著
(翻訳本ではなく取材や資料からの原著)

¥880

 

ルートヴィヒ・バウマンの過酷な人生を通し
ナチス時代に国家反逆罪に問われた兵士達の
実態や戦後の名誉回復を描く。
(東部戦線でのニュース映画等を見せられたりし
ソ連兵への虐待などを知り加担を拒否し配属先の
フランスで脱走を試み失敗、死刑判決が懲罰部隊/極端に危険な
最前線送りへ減刑され奇しくも生き残るが、戦後に
年金なし雇い主なしで苦労した)


支援者 
フリッツ・ヴェルナー
実弟が処刑された為に活動

法律歴史面 マンフレートメッサーシュミット

財政面 大富豪 ヤン・フィリップ・レームツマ


7月20日事件(抵抗記念日)がドイツ国防軍
ドイツ連邦軍の潔白の証みたいに扱われてるが
そうする事によって自分たちの正当性を誇示する為。


緑の党 、 DIE シュピューゲルも支援協力
(ドイツの政治史の一部も分る)

 

ゲオニク・エルザ復権の為に活動した学者シュタインバッハ
(エルザの郷里ケーニヒスブロンに滞在し
彼の行動の真実を根気強く説いた人)も協力した

 

3万人ほど死刑判決が下されうち19,600人が処刑され
それ以外も最前線送りの懲罰部隊で実質死刑に等しい減刑

「この戦争は負ける」と言っただけで死刑も恐ろしいが
<それを密告しなかった同僚も死刑>という事例が実際にあった。

それ以外でも空襲後に街中にあった貴重品などの金銭的な
窃盗でも死刑(これは同じく民間人でも軽微な窃盗で処刑された
民族裁判所のフライスラーの悪名が有名)


最終的に2009/09/08日に
戦時反逆の不当判決は<全て>破棄され
脱走等の不名誉な判決は無効になった。


戦後精算・過去の克服に成功したといわれるドイツでも
実際は成功して無いし終わってない(ポーランドと今も
揉めてる)、シュタウフェンベルク大佐達の名誉回復をしたのが
フリッツバウアーだとかドイツの戦後史を知ってる人には
聞いたことがある名前と流れも一部書いてる。
ナチスの司法官達が西独の司法部門へ横滑りした事など
それがアウシュビッツ裁判への流れとなった/フリッツバウアーの
信念などがあり)
2015年作品でアウシュビッツ裁判、フリッツバウアー作品が
数本製作されたがフィクションが多々あり重要な事を
抜かしてるのが多かった。

時々お花畑が頭の中で咲き誇る人達が自衛隊国防軍に改名しないと
敵前逃亡を処刑できないと嘆き危機を煽る奴等がいる
(普段自衛隊凄いと言うことと矛盾する事は私個人が棚上げして
あげるが、国防軍へ改名しても自動的に処刑できないことが
分ってない事は指摘しておく)
第二次大戦中の米軍で146名が処刑されてるが、その内の
1人だけが脱走兵でそれ以外は強姦や殺人などの一般的な
刑事での重犯(軍法にも違反するが)、しかも強姦の犯人はほぼ黒人で
冤罪も多かったと言われてる、犯人加害者は見てないのに証言では
黒人と言ったり圧倒的多数の軍人は白人だったのに死刑囚は黒人とか。
(米軍の脱走兵は21,000人で死刑判決は162人で実際に
1人しか執行されなかった理由は不明、前後不覚で目覚めたら脱走扱いとか
混乱時に置去りにされたりとか脱走とは言い切れない離脱も多い、
本当の脱走はドイツの場合は休暇で実家に戻った時に帰隊しない事が
多かった、アフガニスタン戦争中に米陸軍兵士がタリバン捕虜になり
捕虜交換で帰国した事例もあったがその軍曹も有る意味敵前逃亡的なのに
処刑はされて無い)

つまり脱走兵敵前逃亡を処刑する制度はあっても適用し難い
それが分らず自衛隊国防軍へ改名すれば自動的に敵前逃亡は
処刑できると思い込んでる人は世間一般では平和ボケ・無知という。
(法制度を理解してないのも仕方ないが何時ものスペック主義で
机上の空論を振り翳し実態が分ってない奴と重なるのは偶然ではない)