映画 あのこと レビュー

 

☆1364


原題 「L’événemeng 」
邦題 あのこと

原題 事件 

2021 FRANCE 3

女性ノーベル賞作家の自伝
アンヌ

2024年3月にフランス憲法で女性の妊娠中絶を
権利として保証したが、逆に言えばそれ以前は
保護保証されてなかった(さすがに21世紀に
違法だとは思えないが)
1975年になって中絶が違法でなくなるが
映画で描かれてる時代(主役アンヌが大学生だった
1960年代)は違法

何故かフランス映画でも中絶を扱う映画は近年も多く
アメリカ映画でも数作ある、社会の右傾化保守化や
一部宗教宗派が極端になり<国レベルで禁止>させようとする
流れに対した作品だと思う
私が高橋洋一こと本名<さざ波洋一>が無能なのは
地獄へ召された安倍氏の経済政策アベノミクス
絶賛する程度の経済オンチ
経済学者であることも一因だが、コロナを<さざ波>と軽視し
国際ニュースデビューし日本が貶められる報道をされたり、
人口減少社会を<私は困らない>からと軽視し現在の
様々なサービス縮小を5年ほど前すら予測できない程度の
無能だったのもあるが、人口減少対策として
「中絶禁止で解決」と曰うレベルだったのも大きい
ルーマニアがそれでどういう社会になってたかも知らないらしい
(流石にチャウセスク夫妻が処刑され政権が倒れたら真っ先に
改正された法案が中絶禁止の部分)

女子大生がポンピエールとフォールインラブして
その結果妊娠する、勉強を続けたい彼女
中絶を決意するが・・・・・

当時は違法だったので産婦人科医は相手にしない
妊娠中絶薬と渡した薬が逆に流産予防だったり
ましてや医師が中絶手術をするわけがない
(レイプだとか母体が危険だった場合??)

両親はこんまりじゃなかったこじんまりとした
店を経営していて(個人経営のカフェみたいなもので
大型店のブルジョアではない、つまり彼女は
労働者階級出身で当時のフランスとしてはかなり
優秀であったことの裏返し、現在でもフランスの
大学進学は日本とは違うから説明しにくいが)

文学志望

恋愛を通して国の悲劇を語ってます
政治的主張
モチーフの繰り返し 火事悲劇記憶は戦争の暗示
1942年 愛国心の目覚め アナラフォ 反復の強調

食べてるガムを渡しそれを食べるほどのBFF(英語だが)も
中絶を支援する事を最初断る
男友達のジャンに助けを求めるが
彼は立ち去ろうとする、ついていくと
食事を食べながら<満足した?><相手は>で
親身になるどころか<妊娠してるから俺とやっても
妊娠しない>と同じことをする
何故か彼女も拒絶しなかった

大学卒業試験の困難さは日本の比ではない
もしかして口頭試問もあったかも

彼女が優柔不断だったことも災いする
女性個人だけの責任ではないが
プラスかマイナスかだったらマイナスだったこの場合
(良く言えば熟慮と言い繕うこともできるが)

当然母親にも相談できないそもそも大学進学すら
手放しで喜び支えてるとは言えない雰囲気

母親のカフェでカウンターに座る知り合い女性が
既に同年代なのに染物職人として働いてる対比

XーRAYがなくても妊娠と診断される
彼女は性経験はないと嘘をつく
マリア様の生まれ変わり・・・
(聖書も大嘘を正々堂々と書いて
信憑性に欠ける)


仲良し三人組
当時のフランス大学女子寮がどんな施設か分かる
因みに現在のアメリカイギリス大学寮や
ソロリティハウス(社交クラブ寮)は多くの
大学生が説明紹介してるからどんな設備があるか
あるいは無いかなど分かる
(人気コンテンツ)

妊娠して食欲が増したアンヌは他人の食い物に手を出すほど
シャワーを浴びるときにお腹を隠すのは当然
現在のフランスの女子寮はどういうタイプか知らないが
アメリカイギリスなどはベッドルームは個室か2人相部屋
シャワールームトイレそしてキッチンリビングは
4人ほどで共有というタイプが多い
(超有名大学寮も以外と質素でソロリティーハウスは豪華
アメリカの浪費社会の実態が垣間見える)

別の医師を当たるが当然拒絶される表向きは協力するが
1940年9月1日生まれなら1960年前後設定

主婦になる病気
当初は優秀過ぎるほど優秀だったアンヌも
妊娠で頭がいっぱいで勉強が手につかず
成績がガタ落ちし卒業を危ぶまれる

危険を冒して自分で妊娠中絶を図るが失敗
当初は断った男子大学生も気乗りせずだが
手助けで妊娠中絶を行う人を紹介する

処女と偽っていた友人が実は過去にヤリマンだった
(ベッドの上でクッション相手に腰を動かすのは
本の読みすぎだと誤解させる流れ)

現在の日本で高校生などがトイレで出産し遺棄する事件などが
起こるのは妊娠しても周囲が気付かない、
本人が良くも悪くも隠し通せることになる

出産もできないのは恐らく当時は
里親制度みたいなのがなかったとも思われる

間接目的語 奪格

アンヌが決断しないのでひたすら彼女の
悩みばかりを描く
よく言えば熟慮型悪く言えば優柔不断
迷ってるのではなく動けない

答案を返す教師は声すらかけない
説明を求める教師にアンヌは答えない
(相談する相手が違うと思うがアンヌは
優柔不断だけでなく、だれにも相談しないとか
相談する相手を間違えるなどその手に関しては不器用、
遺伝学上の子供の父親にすら直ぐに伝えない)

ただアンヌの友人という同じような立場になった場合
当時なら<殺人ほう助>レベルの中絶の支援を
出来たかは批判できる立場にはない


公衆電話で一度出て行っておいてすぐに戻り
次の人が話してるのに出てけと言わんばかりの
行動などアンヌに感情移入して応援したくなるような
タイプでもない


マキシム ポンピエール

実家で皿を洗ってるときにスポンジが違うと
母親に注意され母親は勉強しなさい
(自分がやるから)と親切心で言ってるのに
塩対応するから母親からスラップされる

ホラー映画ではないがあの手の
シーンが怖く苦手な私はライターで棒を炙る時点で
何をするか想像ついたがとても正視できない
シーンがこれを含め二回ある
(トイレで堕胎のラスト近く)

当時でも<合法的な国へ出国して中絶>という
事は可能だっただろうが相当な費用がかかり
殆どの人が不可能(国レベルで中絶禁止を制定しても
今現在も一部の人はそうやってるから負担できる人には
無意味、もっとも多くの人は負担できないし、アメリ
みたいに州レベルで禁止されて隣の州へ行くのも
大変な貧困層ならそれすら簡単ではない)

セルフの妊娠中絶措置は失敗

政治では声が武器になる

アングレーム 大学都市
マキシムすらアンヌの希望を優先しない
傲慢だな
喧嘩別れしてヒッチで帰る

授業に身が入らず質問に答えきれない
「答えられません、聞いてなかったので」
正直なのは評価するが
私も正直にいうこのままでは進級できない

フランスは義務教育の小学校中学校ですら
留年退学もさせるほど厳しい(今現在も)

寮の窓に小石を投げアンヌに
中絶する人を紹介するジャン
当初はそれすら拒絶しそうになるアンヌ
リヴィエール婦人
新聞記者から紹介された

くじ引きと同じ
流産と書いてくれる医師に当たるか
中絶と書く医師に当たるか
後者なら刑務所行き
ライターの火を聞いてくる男が何かの
メタファーなんだろうが・・・・不明
400フラン前払いオンリー

その費用を工面するために持ってる本を売る
1冊3フランを2冊5フランで交渉する大学生
その時友人が前を通るが無視して立ち去る

カルディネ袋小路3最上階

孤独→セックスは飛躍してると思う
当時のパロル暗号だったのだろうか?

妊娠を免れたのは運が良かっただけ
両親とラジオを聴きながら食事をするアンヌだが
ラジオの音声を消してるのはその内容は
彼女にとっては当然ながら上の空だから
そして実家から寮に戻るときにリュックに
食べ物を入れた母親をハグする
異変に気付いた母親だがその理由はまで分からない
(家族愛とまでは言わないがこのシーンも切ない)

措置をする夫人の声がとてつもなく低いのは
選んだのだろうか?

12週目ギリギリ 目立つ
キッチンでエスプレッソマシーンがない時代
多かった少なかった?出血

声を出さないで壁が薄いと言いながら口にタオルを
噛ませるなどはしない
漂白剤を流し込む人もいるそれで死亡する人もいる
あなたは幸運ね


殆ど女性だけの問題になってる
措置後寮に戻るが起こるはずの事が起こらず
再度夫人の部屋を訪ねるが
<残念>これ以上器具を入れるのは危険と
自己責任を求められる

4度目の正直になる
寮に戻る途中から痛みが襲ってきて
ベッドでのたうち回る
やっとで友人が気付いて助け
トイレでへその緒が付いた堕胎児を
ハサミで切る

しかしベッドに戻って大量出血で苦しむので
救急車を呼ぶことになる
(このタイプの噂は光速で巡るので
寮生全員に知れ渡る事になる)


もう一度勉強すると教師に講義録を
写させてもらう
作家希望だと言って

カルテには何と?流産

大学で文学教師に

名誉は守ろう
それ以外は皆に与えよう
そして行進する
憤った目
青ざめた額
そこに映し出される
信仰 勇気 飢饉
部隊は十字路を行進する
頭を上げ旗を掲げながら
聖なるぼろ布
ユゴーの言葉が君たちを導いてくれる
親愛なる諸君

アニーエルノー 

7月5日


試験結果を描かないのがさすがフランス映画
邦画ならほぼ結果を描く

結果を描かなくてもこの卒業試験が
合格か不合格なのかは考えれば分かる
(どちらか分らず観客に委ねるのも悪くない)