ダニエルエルズバーグ氏に敬意を表し 

 

BOOK レビュー

権力は嘘をつく  

 

良い本だが邦題は脱線気味
主張したいのは分るがせいぜい副題にすべき
しかも日本語では何処にも原題が無いので
英語で検索したが今後はchatGPTに任せても良いのか?

 

ダニエル・エルズバーグ
(彼も当初は政府方針が正しいと信じていたし
アメリカの勝利を疑わずその為に政府の
仕事をしていた)


ペンタゴンペーズはマクナマラ国防長官(当時)が
元々<アメリカがベトナム戦争で失敗した原因を
後世の研究者は調べるはずだからその資料を
作成し残す必要がある>と真っ当な判断から作成された
公開非公開は別としてこの姿勢から違う、マクナマラ
<歩くコンピューター>の異名を取る研究学者肌もあった
ハーバード大学教授でカレッジ学長までなったと思う、
残っていれば総長にも楽勝でなれたと言われてる、つまり
かれが国防長官になった事で2つの損失が発生した
1つはハーバード大学、もう1つはアメリカ合衆国
ハーバードは人材を失いアメリカ合衆国は若い兵士の
命を大量に失った、ベトナム人を入れれば3つかも)

当初から公開するつもりは無かった
7000ページ
ベトナムでの実態(米軍戦略的敗北、
効果なき北爆等々)を詳しく報告

「あの文書は血を流して犠牲を払ったアメリカと
インドネシアの人々の物」


北爆は要はホーチミンルート
(英語ではホーチミントレイルと表現)という国道を
破壊すれば補給を止められると勘違いした
ホーチミンルートを破壊されたベトコンは
<ジャングルの中の獣道>を補給路にした
アメリカ軍みたいに戦車や203mm砲など
巨大な装備が無いからそれで十分だった


死んだベトコンは良いベトコンという
恐ろしいアメリカ軍の価値観があるが
ボディーカウントをする場合に
農民かベトコンか区別がつかない場合も多くその場合は
ベトナム人が死んでたらそれはベトコン」
つまりBDAでの殺害数もいい加減な事も多い
(基地に攻め込んでいる敵を殺害したとか、
明らかな大規模作戦/米軍部隊を囮にして
誘い込んでの反撃などを除き)

北爆をする<政治的理由(口実)>を探して
「血が要るんです」と北ベトナム側の残虐行為を
必死に探す


「国民は事実を知るべき」
「この戦争を終わらせなければ息子が
戦場か刑務所/徴兵拒否した場合に行く」
それがリークを決断した理由
(その為には終身刑になっても構わないと覚悟)

「国を統治してるのは国民」
「大統領1人に任せてはいけない」


EMフォスター
<国家を裏切るか友を裏切るかと迫られた時は、
国家を裏切る勇気を持ちたいと思う>
(進んで売国奴になれというのではなく、
批判覚悟で反対したりこのような行為をする事)

NYTに一番初めに持ち込んだが
政府が差し止め裁判を起し政府側が勝訴

ワシントンポストにそれ以降のページを
エルズバーグは渡す、WPにも差し止め訴訟が
起される(判決が出るまでは記事を停止させられる
後に勝訴するが)この経緯が映画ペンタゴンペーパーズに
なってるが、あれはキャサリングラハムなど社主や
記者のWPの視点でこの本はエルズバーグの苦悩や
経緯

それからボストングローブが<リレー型式>で掲載
あとはもう<雪だるま>式に多くの新聞が掲載し
訴訟も追いつかなくなる

ニクソンが止せばいいのに<エルズバーグのスキャンダル探し>
を命令し、元CIA元FBIエージェントを使った<配管工・
プラマーズ>にやらせ実行するが失敗(そんな
浮いた話も無かった)

そして既婚だったが妻も支持協力した事
実行時の職場だったランド研究所
無関係の上司が発覚後に
責任を取らされクビ(これは気の毒過ぎる
もちろん知りはしない状態)

他にもコピーを手伝った友人達も起訴されたが
全員無罪

アメリカの自由公平民主主義的な部分もあったが
ニクソンがダニエルのあら捜しで違法工作をしたのも
発覚した為(このプラマーズが後にウォーターゲート事件
侵入行為をしたマヌケな実行者達)

 

米兵
トンキン湾事件 米海軍側の誤認(領海侵犯だけでなく
魚雷攻撃は米艦スクリュー音かなにかの誤認で実際北ベトナム側は
発射してないといわれてる、ウィキに掲載してる魚雷艇画像は
コメディであって”深夜に攻撃された”としてるのに
その画像はモノクロで昼間、当時から夜間用赤外線カメラ等も
あったがその場合は独特の色になる)
しかも駆逐隊司令准将が誤認の可能性有りと修正報告したのを
握りつぶした

捕虜 
捕虜に為る時は結婚指輪を外せ
既婚者と分ったら敵はそれをネタに苛む
(こういう事は流石実戦経験と捕虜を多数
取られてた米軍だからこその経験値)


「奴等ベトナム人は米国人を憎んでないが好きでもない
 10m先に地雷が埋められてもニコニコ笑って教えない」

 プラマーズの無能工作員がホテルで小便が我慢できず
 バーボンの瓶に放出した後で
 「お前がウイスキー好きなのは知ってるが、あのホテルの
  ウイスキーだけは絶対飲むな」

非合法捜査(現在では不可能だが当時は可能だった)

ニクソンが知られざるほどのクズ
(ただし人格異常なだけで、
知能はそこまで劣ってなかった
その点は故安倍氏と真逆)

エルズバーグも凄いが報道機関(新聞やCBS)
そして裁判所もまともだった
一部の高級官僚や閣僚も大統領もベトナム戦争
敗北してると分ってるのに嘘をつきまくった
(キルレイショー 殺害比率だけでは戦争は帰結しない
太平洋戦争で日本が敗北したのは戦死者もだが国内での
戦争継続の為の食料燃料がなくなったり継続できなくなっていたし
アフガニスタン戦争もタリバン側が戦死者は多くても
首都を落とし米軍は逃げた)

戦争で初めて敗北した大統領になりたくないなど
自分のプライドを優先

会議の席ではベトナム駐留軍総司令官(ウェストモーランド将軍)
マクナマラは敗北してると発言してるのにカメラの前に立つと
<順調><作戦成功>と大嘘を垂れ流していた

戦力の遂次投入と<敗北戦争の敗因>をやった典型でもある
とにかく世論=大統領選挙ばかり気にしていてアメリカ兵の
命を軽視してると批判されても仕方ない、世論を気にしてるだけ
マシで独裁者ではない面はある事はあるが

ベトナム戦争が後に出てくるパウエルドクトリンとは
一致せず後出しジャンケンではあるが
<戦争以外の手段はないのか?>
<国民の支持があるか>
<国際社会の支持はあるか>
<同義的法的に問題ないか>ETC全て外れて見事敗北

 


NYT ワシントンポストは裁判で賠償金命令(敗訴)が
出ることも覚悟して報道した
契約弁護士が自ら<辞任>するほど難しい案件

原告(政府)敗訴の理由

「危機に瀕してるのは国家だけではない」
「安全とは自由な社会制度を重んじる事の中にもある。
報道の自由と国民の知る権利と言う、より大きな価値を
守る為には、扱いにくい報道関係者も普通の報道関係者も
権力を握る者によって許容されなくてはならない」
報道の自由は政府の為ではなく国民に仕える為」

ベトナムに1ドル損害を与えるのにアメリカは
10ドル費やす

キルレイショー(数字上)はアメリカ有利

 

一部のアメリカの行為や政治家は世界でも最悪レベルでも
こういう部分にアメリカの凄さがある(例外としても)
日本では政府自民党に隷属する事が絶対で逆らったら
<前川元文科省事務次官>みたいに読売新聞に
都合の悪い事をリークされスピンコントロールされる
(読売新聞も読売新聞でそんな事を全国報道すべきかどうかは
分るはず、だったら自民党の隠れたスキャンダルは毎日
報道すべきなのに)


これはニクソンがエルズバーグの汚点を探す事を
命じたのと全く同じ、つまりニクソンは政権を追われたのに
日本では問題視されなかったいくら合法的に収集した
情報としても

 

2023/02/25(土)に元毎日新聞社
沖縄返還密約をスクープした記者が
亡くなった、情報入手過程で
日本語英語に近い<ハニトラ>を使い
それが<spin control>になって
正しい報道だったのか何か分らなくなった
(野党政治家に渡したのは恥ずかしいとか
失敗ではなく、それが報道上での手段で
普通というのを結局ネトウヨは理解してない)


これが目の上のタンコブ扱いで
スピンコントロールされた上で
有罪判決になったのが日本だと思う